21話の感想と演出について+(童話的解釈へのヒント)
21話見ました。
NGは最高のユニットですね。
NGだけでなくCPのみんな、アイドルのみんなが新しい冒険を前に、目を輝かせていました。
美波の答え、蘭子の思い、そして卯月の…
てっきり先週の流れから前半は心が苦しくなることを覚悟していましたが、完全な杞憂でした。
考えてみれば1期でも6話から次の7話でNG再結成までまとめきっていたので、尺の都合やイメージ上の問題、後は監督・演出さんの好みの構成なんでしょうね。しかしながら今回は最初から未央自身が考え、凛と卯月と、そしてプロデューサーが逃げずに向き合っていたので、24分間のほとんどが不安ではなく期待で溢れていました。
どんな展開になるか予想がつかなかった未央のソロ活動宣言。
一番気がかりだったのはなんといってもNG解散の可能性でした。
しかし前回の記事でも書いたように、20話随所で未央の発言はあくまでもポジティブなものであることが指し示されていたので、心配することはありませんでしたね。
むしろ驚いたことはわずか1話でNG、ラブライカ両ユニットの問題解決、さらには新CPと秋フェス冒頭までが一気に全て描かれた圧倒的なスピードの速さでした。
冬フェスをやるにしてももう2クッションくらいはあることを予想していたので、画面の前でしばし呆然としてしまいました。
しかしそんな驚きの早さでも一つも欠けることなく丁寧に描かれる彼女達の心の動き。スタッフさんにはどれほど感謝していいのかもはやわかりません。
そんなわけで先週以上に思ったこと、気付いたことがあったので記事としてまとめられるか不安ですが、私もささやかながら冒険してみたいと思います。
長くなりそうなので、今回も章に分けてみました。
1. 未央の気持ちとメッセージ
2. 凛の応え
3. ゆっくりと、けれど確実に前に進む卯月
4. それぞれの冒険
5. シンデレラの物語、ついに終盤へ
番外. Project Kroneの映像から思うこと
1. 未央の気持ちとメッセージ
先週の話の中では凛のTP加入の話を受けて逃げ出したように見えた未央、しかし屋上で語られた未央の言葉からは2人に対する真剣な思いが溢れ、そこに大きく成長した彼女の姿が見えました。
「プロデューサーは私達のことを考えて黙っててくれたんだよね」
「しぶりんはさ、ずっと悩んでたんでしょ」
最初に出た言葉は現状の不満でも救いを求めるものでもなく、自分を想ってくれている人達に対する思いやりの言葉でした。
1期の初ライブ後、アイドルを辞めると言ったときには常に主語は「私」でした。
相手の気持ちを思いやる心の余裕がなく、アイドルとして未熟だった彼女の姿が思い出されます。
けれどそこからこれまで積み重ねてきた時間の中でCPや凛・卯月と絆を深め、未央は確実に成長していたんですね。
しかしまだ成長の途中、それも大きな変化が求められるようになったこの段階にきて、未央は苦しみます。
「NG以外の道なんて、考えたこともなかったしさ……ううん、考えたくなかったっていうか…」
CPの欠員補充をきっかけに出会うことになった3人。
美嘉のライブのバックダンサーとして真っ先にライブを経験し、そして1度挫折仕掛けながら、サマーフェスで一緒に最高に輝いた仲間。
そんなみんなと「一緒に進みたい」という純粋な気持ちが、行き場を無くして苦しくなっていたのです。
特に未央はリーダーとしてNGをもっと輝かせようと決意していました。何度も繰り返し「リーダー」と発言していたのは、ひょっとすると自分のための言葉ではなく、凛と卯月に対する「この道で大丈夫だよ、だから一緒にいこう!」というメッセージのような意味合いもあったのかもしれません。
けれど、そんな未央の思いは「3人の気持ちが1つである」ということが前提のものでした。凛のTP加入という気持ちのズレが、未央の決意を迷わせます。
「しぶりんが迷っているのは、私が何もできなかったせい」
リーダーとして、志を同じくする仲間としてずっと色々なことを考えてきた未央だからこそ、凛や卯月の苦しみは全て自分が至らなかったせいだと思い込み、自分を責めてしまっていたのです。
普通なら考えすぎだと思うかもしれませんが、一度解散の危機を招いた未央にとっては、「二度とこんなことを繰り返さない」「戻ってきてくれた2人のためにも、私は、リーダーの私が、NGを最高の舞台に連れて行くんだ」、そんな言葉にされない思いがあったようにも思います。
そんな未央の涙に、プロデューサーは応えてくれます。
「それは違います、今までの活動に誤りがあったとは思いません」
「あなたは私が選んだニュージェネレーションズのリーダーです」
「あなた達には、これからまだまだ色々な可能性があると思っています」
真っ直ぐな言葉。
7話の最初では未央達に対して曖昧な言葉で語りかけ、それを逃げていると責められたプロデューサーもまた、彼女達と一緒に大きく成長していることがわかります。
「当然の結果です」という言葉も、これは彼なりの真っ直ぐな言葉でした。しかしあのときはまだ十分な信頼関係がなく、お互いに経験の少なかったことが原因で誤解を招いてしまいました。
今度の言葉も嘘偽りなく、けれど誤解することなく明確に気持ちを伝えることができるように丁寧な言葉が選ばれているように感じます。
特に最後の言葉には「NGはもっと輝ける」というはっきりとした気持ちが込められています。まだ道の途中、苦しいことも辛いこともある、けれどそれを乗り越えた先には、今よりももっと輝けるステージが待っている。可能性という言葉は一見曖昧な表現のようですが、未央に、そして凛・卯月に対して、「そうなりたいかどうか、決めるのはあなた達次第です」という問いかける様な意味合いもあると思います。
しかし、凛のTP加入の問題はそんな未央の迷いとは別の問題であると告げるプロデューサーと美嘉。
「少し違うところから見てみないとわからないものなのかもしれません」
「わからないから確かめたいと思ってるのかもね」
この言葉、NGだけでなく、他のCPメンバー、ひいては1期から語られてきた成長するための条件を初めてセリフで示したものであるように思います。
13話で蘭子がアナスタシアと組んだことで新しいドキドキに気付いたように、成長するために必要なのは、常に新しい挑戦を経てそれを過去の経験と合わせてより正しい道を目指すこと。
これが21話で「冒険」というキーワードに置き換えられ、新しい階段への歩みが始まることになります。
アイドルになるという最初の冒険を経た彼女達
13話の蘭子の最初の小さな冒険
20話のアナスタシアの大きな冒険
そしてそれに続く、未央、凛、卯月の3人
NG以外でやるということがどんなことなのか、それは経験したことがないからわからない。NGとしてもっと先に進むためには、一度NGの外から世界を見てみる必要がある。それぞれの冒険に踏み出すために、まずリーダーである未央がその一歩を踏み出します。
そして卯月や凛とすれ違いながらも、何かを見つけるために舞台に集中する未央。藍子・茜の先輩アイドルに支えられながら、少しずつ手応えを感じるようになります。
そしてある日、舞台練習中に何かを思い付く未央。階段ですれ違っている場面で未央が2人にぎこちなく接していたことから、「今のままただ話合うだけじゃ、本当の気持ちは伝えられないかもしれない」という考えがあったのでしょう。そんな状況を変えるために未央が思いついた方法は、「NG以外の目線で手に入れたもの」でした。
突然舞台の台本を渡されて卯月と凛は戸惑います。けれど
すぐになにかを悟る2人。
ずっと一緒にいたはずなのに「知らなかった」未央の演技力が高いということ、新しい一面。それに驚いたのでしょう。
「あんたみたいに勝手な人なんて、もう知らないわ!」
「ぼっちゃま、落ち着いて」
「僕はもう生きられないんだ…ベッドから動けなくなって…僕は、春が来る前に…」
「ああ、可哀想なぼっちゃま」
「馬鹿ね、あんたはちっとも弱ってなんかないじゃない」
「あんたの病気の半分は、あんた自身よ!自分に呪いをかけてるんだわ!」
「まあメアリーさん、なんてことを」
「僕は君と違って身体も弱くて…本当に外に出られるの?」
「あたしだってここに来たときは身体も弱くて、それに外だって大嫌いだったわ」
「でも、マーサやディコンが教えてくれたの、外は宝物でいっぱいだって!」
「そうよ!空は高くて、ハリエニシダやヒースやバラが芽吹いているの!」
「外の空気を、いっぱいに吸って!」
「僕も…いっぱい吸えるかな?」
「そう、私には冒険だった」
「君の見ているものを見たかった」
「なんて美しいんだろう、僕はもっと早くにここに来るべきだったのに」
『うん、ごめん、待たせて』
「大丈夫、これからだもの!、明日も明後日もここに来ましょう!」
「そうさ!、春の次は夏、その次の秋も冬も…ずっとずっと……」
「恐れずに踏み出せば、花園は私達を待っていてくれるわ!」
「花園は生きる輝き」
「花園は魔法の場所」
「「「花園は私達の心」」」
台本のセリフまで細かく設定されていますね。
セリフを含めて考えてみると「秘密の花園」という舞台タイトルには「秘めた気持ち」という意味が込められていたことが読み取れます。
凛の気持ちを知るためにNGを離れて舞台をやってみて分かった、新しい視点で見れば外の世界にはドキドキするものがもっとたくさんあるということ。
新しいものを見つけてワクワクしている新鮮な気持ちと、台本を使って3人で演じることによる「NGの外の世界で、私はこんな素敵なものを見つけたよ」「たとえ外に出てみたとしても、離れ離れになるわけじゃないんだよ」というメッセージが伝わってきます。
また、ここでアップになっている花ですが、まだ未央が凛の気持ちを理解できておらず悩んでいるときにも同じアングルで花が映し出されています。
2つを比べてみると、ややズーム(注目)して+花が雨に濡れて美しく輝いている=新しい見方をすればそれ以上の思わぬ輝きに気付くことがある、ということを表しているのがわかります。
20話でプロデューサーが言っていたように、「あれ以上の笑顔になれる可能性を感じたならば挑戦してみる価値がある」わけですね。
(ついでに言えば、下の場面では最初は花にプロデューサーの影がかかっており、移動してそれが無くなる=曇っていた気持ちがプロデューサーが歩み寄ってくれたことで晴れ、未央の気持ちが落ち着いた、という表現として捉えることができます。)
未央ソロverのつぼみも、とても素敵でした。曲が入るタイミングだけでなく、そこできらきらした瞳で「2人に語りかける未央」と「曲を歌う未央」の気持ちとがぴったり重なって、画面を見ている私たちにまで語りかけてくれているような気がして、また涙が出ました。
こうして未央が踏み出した新しい階段への一歩。
凛と卯月はこれにどう応えるのでしょうか。
2. 凛の応え
未央のメッセージを受けて、凛はTPに加入することを決断します。
TPに加入することによって未央と卯月を置いていってしまう、離れ離れになってしまうことを心配していた凛にとって、未央の伝えてくれた気持ちは本当に温かいものだったことでしょう。
「私だけじゃない、未央がそうしてくれたように、3人でもっと前に進むために、私も一度冒険してみよう」
屋上でのNG講演の直後、卯月に自分の決意を伝えるべく振り向いた瞬間のこの表情を描いたアニメーターの方は本当にすごいと思います。
それまでとは明らかに違う決意に満ちた表情。13話ラストでの晴れやかな表情とも違い、一番近いものを感じるのは凛がアイドルになることを決意したときのあの表情でしょうか。ですがあのときのどこか戸惑いを含んだものとも明らかに違います。
この決意に至るまで、20話で一度決意を固めたはずの凛はずっと迷っていました。
演出にも注目して、こちらも見ておきましょう。
「しぶりんも、やりたいことやってみれば」
この場面の演出もうまいと思います。先ほどの凛が決断する場面でもそうですが、先に冒険を始めた未央に対してまだ迷っている凛(と卯月)が階段の下にいる=まだ踏み出していないことを表しています。段数も関係あるとすれば、これはお互いの心の距離としても理解できるかもしれません。後述する卯月と凛の間の段差はこれよりも少ないので。
またここの未央の言葉には、まだ伝えられるほど気持ちを整理しきれていない未央の心情が感じられます。凛の気持ちを理解するためにソロ活動を始めたけど、まだよくわからない、しかしどちらにせよ凛を後押しすると決めているので、不器用ながらTP参加を促している言葉だと思います。
しかしまだ未央の真意は伝わらず、このときの凛には「NGなんて気にせず、TPにいっちゃいなよ」と愛想を尽かされたように聞こえてしまったのでしょう。
未央の態度を感じて、凛は再びTP加入に迷います。
この場面ではそんな迷いを示すように柱が壁に見えるアングルとなっていますね。
それとアイマスにおいては迷い・苦しみ・悲しみ・戸惑いのシーンでは一貫して雨が降っているように演出がなされています。今回も例にもれず、前半から中盤にかけて常に雨が降っていましたね。心が曇っているということです。
さらにお互いの気持ちの壁を強調するシーンカット、ガラス越しの表情、この辺りの演出も定番ですね。奈緒・加蓮と対比して雨粒流れるガラス越しに映る凛=凛側に気持ちの迷いがあるということを表しているわけです。アイマス劇場版で春香が悩むシーンなどでも用いられています。
それから奈緒と加蓮が並んでいるカットでは後ろに346プロのポスターが描かれていますが、これも「こちら側にお城がある」という演出かもしれませんね。
さらにCPの全体練習の話の中で美波もソロでやり、アーニャはPKでのみ出演することが判明。未央と仲直りできないまま、凛はさらに決断を迫られます。
凛のここでの立ち位置、衝立とかぶるようになっている辺りも気持ちの距離感を示しています。ひょっとすると左端の花にも意味があるのかもしれませんが、私は花に詳しくないので、その辺りの考察は他の方に譲ります。
そして自らの発言を後悔する凛。
「私があんなことを言わなければ…」
未央の行動、奈緒と加蓮からのプレッシャー、CPのみんなを不安にさせているという申し訳ない気持ち。まだ少女の凛はネガティブな気持ちに追いやられ、自分を責めるようになってしまいます。
けれど、彼女は一人ではありません。
「大丈夫です…大丈夫です!、私達3人で、頑張ってきたんですから!」
このシーン、本当に感動してぼろぼろ泣いてしまいました。
美嘉のライブのバックダンサーとして参加したとき、初めての本番に緊張から動けないでいた未央と卯月を励ました凛、ずっとそんな風に影ながら2人を支えてきた凛がここにきて最も弱気になっているのです。けれど未央と同じように、卯月も凛もお互いに確かな絆を築いてきていました。そんな絆を信じて、卯月自身も震えながら紡いだ言葉、その言葉の一つ一つの温かさはこれまでのストーリーがあってこそのものだったと感じました。
そして卯月に励まされて元気を取り戻す凛。
これがきっかけとなり、凛と卯月はようやく未央と正面から向き合うことを決意します。そして最初に述べた通り、NGはそれぞれの冒険に向けて進み始めます。
ちなみにこのシーン、先ほどの凛と奈緒・加蓮のシーンと比べると凛と卯月の心の距離がより近いことを表していることがわかりますね。曇っているけれど、お互いの間に心の壁はないわけです。
3. ゆっくりと、けれど確実に前に進む卯月
いよいよ一番気になる部分を考えていくことにします。
未央と凛はNGを一時離れ、それぞれの冒険を始めました。
残るは卯月ですが、彼女は「3人でさらに輝くために」どのような冒険をしようと考えているのでしょうか。今話ラストでは原作のピンキーキュートというユニット(卯月+美穂+智絵里)を参考にした美穂との2人ユニットを組んでいましたね。
(智絵里を入れなかった理由は単純で、CIとしてすでに組んでしまっている+これ以上ユニット解散や掛け持ちの話を入れるには尺の余裕がない+智絵里のキャラではその後の展開が難しいということでしょう。CP内でかき回す理由はありませんし。)
しかし演出を見る限り、どうやら卯月はまだ何かに迷っているようです。
卯月がどんなことに迷っているのか、彼女がどんな思いでユニット結成を承諾したのか考えてみます。
最初に、前回20話のラストで卯月は結局何を決意していたのかを確かめてみます。
21話が始まってから、卯月は特別何かを語ることもなく、ぎこちないながらも常に凛の隣に居て、凛を支えようとしていましたね。
2人のようにソロやユニットで活動することもなく、NGとしての活動を続けている。つまり前回卯月自身が理解しているように「新しいことは思い付けないまま」だったのでしょう。しかし卯月は誰よりも素敵なものを持っています。
「新しいことは思いつけないし、私自身のこともどうしたらいいのかわからない。けれど、凛ちゃんと未央ちゃん達に私はどうして欲しいと思っているのか、何を伝えてあげられるのかはわかる」
個人的な意見ですが、卯月の新しいことを思い付けないというのは、彼女の優しすぎる心の影響なのだと思います。卯月にとって自分は常に主役ではなく、傍にいてくれる人が第一であり、ほとんど全て。だからこそ相手のことを想い、優しくできる。けれど自分のことは二の次で、自分自身に対する気持ちはわからない=自分が成長するための何かは思いつけない。未央によく「しまむーはどうなの?」と問いかけられたとき、常に言葉に詰まっていたことからも卯月のそんな性格が想像できます。
さらに言えば、アイドルになりたいという夢はあるけれど、それが叶っていた状況はNGであり、NG以外が自分の夢なのかどうか、まだわからない。彼女の夢は今、NGという他人に依存してしまっているのです。だから卯月は迷っている。
従って卯月にとっての成長とは「自分がどうしたいのかを知ること」なのでしょう。
17話でも美嘉達が似たような成長をしていたように思えますが、卯月の場合には個性やこだわりという基本がないため、明らかに違うものと私は考えています。
少し話が逸れました。それでは卯月の決意したことが判明するシーンを見てみます。
未央の伝えてくれたことを胸に、凛がTP参加を決意して「あのね、卯月」と振り返るシーン。
卯月は瞳を見開き、凛が何かを言う前に「いいと思います!」とTPへの参加に賛成します。
この卯月の発言のタイミングからわかるように、卯月は「凛ちゃんがしたいと思ったことをしてほしい、だからその背中を押してあげよう」ということだけを決意していたのでしょう。
凛がNGで頑張ると言えば喜んで迎え入れて「一緒に頑張りましょう!」という言うつもりだったでしょうし、TPに参加すると決意したならば、こう言おうと決めていたわけです。優しい卯月らしい、素敵な決意だと思います。
この場合未央のソロ活動宣言のときには何故すぐに肯定しなかったのか、という疑問が生まれますが、これは単純に想定していなかったからびっくりして頭が真っ白になったから、それに加えて未央には「一緒に凛ちゃんを待ちましょう」と言おうと決意していたからでしょう。その後も何も言えなかったのは未央の真意がわからなかったから、凛の場合はすでに「新しい何かを見つけたい」という真意が見えているので、後押しする決意ができていたわけです。卯月が凛を励ますシーンで「未央ちゃんとお話しましょう」と言っていたのは、卯月自身もどうしようか決めるために言っていたわけですね。
また下のシーンのアングルも絶妙です。2章で階段での段差が冒険へ踏み出した側と踏み出していない側を明確に分けていると説明しましたが、このシーンでも冒険に踏み出した凛に対して、卯月が下にいますね。
また未央のシーンと比較して段差が少ないことから、凛と卯月(卯月の発言内容から恐らく未央とも)の間にできていた心の距離がほとんどなくなったことがわかります。さらに踏み込んで考えれば、未央のメッセージを受けて、卯月も冒険に近づいたはずです。即ち、凛と未央のいる場所に対して、卯月もあとわずか1段(2段?)にまでその距離を縮めていると考えられます。
それから少し判断が難しいのが、スペースの解釈の問題です。
凛を見上げる卯月、その後ろには大きくスペースが取られるようにシーンカットが選ばれています。これにはいくつか(全部かも)の解釈を考えることができます。
・卯月達がアイドルとして今まで長い階段を昇ってきた(成長した)という表現
・卯月が凛に対してずっと伝えようと貯めていた気持ちの大きさを表している
・卯月の「いいと思います」という発言は本心ではなく、「自分をおいて行かないで」「ずっと一緒にNGをやろう」という秘めた想いの大きさを表している
特に最後の解釈の場合、卯月がかなり無理をして凛の背中を押していることになります。今話エンドロールで卯月が営業スマイルで写真撮影をしていたことや、無表情で衣装を探していたことを考えると、いつその気持ちが暴走してしまうのか今から不安になります。
あえてネガティブな可能性をもう一つ上げるとすると、屋上での舞台セリフが卯月だけどこか噛み合っていないことが上げられます。
未央と凛の会話が成立しているのに対して、卯月のセリフは使用人?の相槌のようなものばかりで、未央と凛からの返答が一つもありません。最後の「花園は魔法の場所」だけは噛み合っています。
このことを考えると、
・凛と未央が冒険しようと語りあっているのに卯月は参加できていない
・でもNGとしての気持ち(また3人で輝きたい)は一緒
という状況が読み取れます。
「そうさ!、春の次は夏、その次の秋も冬も…ずっとずっと……」
というセリフのところでは、卯月は「冬」の部分で演技でない言葉になります。
これはそのまま冬のライブへの参加がどうなるのか今はまだわからなくて不安な気持ちと、冬もその先もずっとNGとして一緒にいられるということに対する期待の混じった感情の表れなのでしょう。
これらを踏まえると卯月は、NGでもっと輝くために2人が冒険しようとしていることは理解して認めているし気持ちは一緒だが、自分にはそのために何ができるのか全く思いつかず途方にくれている、という状況であることがわかります。
エンドロール前のプロデューサーとの会話でもそれがはっきりわかりますね。
「ステージもCDもラジオ出演もできましたし、テレビも出ましたから……このまま3人で、頑張りたいです」
「島村さん個人としてはどうでしょうか?」
「え、私…あ……」
わざわざ指折り数えて「自分がアイドルになってやりたかったことは全てやりきってしまった」と暴露してしまっているわけです。1話でデビューを伝えられた後のプロデューサーへの質問内容がまさか本当にやりたいこと一覧だったとは思いませんでした。
前回の記事にも書いた通り、卯月はすでに夢を叶えてしまっていることがわかりました。なので、21話目にして、卯月はついに夢のその先を目指し始めることになったわけですね。
この部分、どうやらシンデレラという物語とも対応しているように思います。
詳しくは別の記事にまとめる予定ですが、童話の中ではいじわるな姉妹達と違い、シンデレラは「舞踏会に行きたい」とは言っていますが「王子様と結婚したい」とは言っていません。これを卯月に置き換えると、「アイドルになってステージで輝きたい」とは言っていますが「その先どうしたいかは想像もしていない」わけです。
そう考えるとやはり卯月が正式なシンデレラポジションなように思えてきますね。
それから書いていて思い付いたのですが、NGの3人は夢に対しての現在地が異なっているんですね。
凛:夢を探している(夢中になれる何か)
未央:夢の途中(色んな人と出会って仲良くなりたい)
卯月:夢が叶ってしまった(アイドルになる)
(※未央の夢は最近配信開始されたばかりのスターライトステージのアイドルコミュエピソードで語られているものなので、アニメでは夢の内容が違うかもしれません)
最初は同じ場所からスタートした3人が、アイドルとして色々な経験をしてきた結果、気付いたら夢の現在地が異なってしまっていた、それが自然とお互いの気持ちのズレに繋がり、新しく冒険を始めることになった、けれどバラバラにならないように、また同じ場所で一緒にいられるように、今度は3人で「新しく同じ夢を選んだ」。
その夢が「NGでもっと輝くこと」だったわけです。
こう解釈してみると、21話の演出がなおさら素晴らしいものに思えてきます。監督さんスタッフさん本当にすごいです。
さて、そんな卯月は冒頭で言ったようにプロデューサーに勧められて美穂と2人ユニットを組むことになります。
プロデューサーが卯月を気づかって言葉をかける中で「よりニュージェネレーションズを…」と言いかけたところで「やってみます!」と言っているように、自分ではどうしたらいいかわからない卯月はあくまでNGのために自分も冒険してみることを決意します。
しかしその決断の直前、卯月は再び「凛ちゃんはすごく綺麗な声してて、未央ちゃんはすごく演技が上手くって…私は…あの…」と弱音を吐いています。自分は2人のように自分らしい新しい何かを見つけられるのか、不安に思っているんですね。
しかし凛には卯月が傍にいたように、卯月にもまたプロデューサーという魔法使いが傍にいてくれました。
「笑顔です」
1期の時点ではまだはっきりとは見えてこなかったこの言葉の真意。
それが少しずつ形を成して、卯月とみんなの夢に近づいているように思います。
最後のカットでの卯月の無表情にどんな意味が込められているのかはわかりませんが、それもまた1期のときとは違う、ポジティブな意味が込められているのだと信じることができそうです。
4. それぞれの冒険
章として分けましたが、正直言ってほとんど書くことはありません。
というのは、NG以外のCPのみんなも同じようにそれぞれの冒険に旅立つということは見ていてよく分かりますし、その理由はNGの3人が語ってくれているからです。
ただ20話で美波の考えていることが明確になっていなかったこと、それが今話ではっきりしたので、蘭子や他のメンバーも含めてそれぞれが始める冒険について簡単にまとめておきたいと思います。
・美波の冒険
「アーニャちゃんと私、二人とも頑張って秋のライブを成功させる、それが私の冒険なんです!」
20話では一足先に大人になったアーニャに置いて行かれたような寂しさを感じていると書きましたが、これは考えすぎだったように思いました。
美波とアーニャはすでに深い絆で結ばれており、すでに大人である美波はすぐにアーニャの気持ちと考え、そして2人が離れ離れになることはないと理解していたようです。
その上で、アーニャだけに冒険をさせることなんてできない、場所が違うけど、自分も一緒に冒険する、彼女の隣に相応しい私で居られるように、というパートナーとしてのかっこいい決意を感じました。
ついでに言うと今週のNO MAKEの中で2人はただならぬ関係(大分御幣がある)であったことが公式発表されたので、もはや心配することはないでしょう。末永くお幸せに。
美波のソロシーンも楽しみですね。(大分御幣がある)
・蘭子の冒険
蘭子も密かに冒険していました。
実はこれに一番衝撃を受けたのですが、2期でずっと描かれないなと思っていた蘭子回はすでに13話で描かれていたのですね。1期の段階ではあれは唯一ソロ活動だった蘭子への救済策、CPの一体感を表すための回だとおもっていたのですが、それだけではなくすでに2期のテーマへの伏線になっていたのですね。
ソロでしか見えなかった景色にアーニャと組むことで初めて見えた新しい景色が重なって、蘭子はすでに大きく成長していたのです。考えてみると20話でもアーニャに「挑戦することは楽しいから」と言っていますし、蘭子は誰よりも先に冒険を始めていたのですね。
ラブライカとNGの件で不安になっていたCP内で勇気を出して発言したところからもそれが伺えます。原作でもそうでしたが、蘭子が熊本弁から標準語に戻って喋るというそのギャップがうまくいかされていて素晴らしいですね。
そして蘭子の新しい冒険、小梅との2人ユニット。
NO MAKEの中では蘭子が常に標準語で喋れる相手という思わぬ関係性が判明したり、このデレマスというコンテンツはアニメ外からも目(耳)が離せないですね。
闇の眷属のコンビという相性抜群の2人。ホラー好きと苦手という違いもむしろプラス材料のように思えます。
小梅の衣装は[ゴシックホラーナイトメア]白坂小梅+のものを蘭子に合わせてアレンジしたものでしょうか。頭の薔薇がシンメトリーについているのが絶妙なアクセントなっていますね。というか小梅の髪に赤色が本当に良く似合う。
・CPのみんなの冒険
NG、ラブライカ、蘭子の冒険の内容がわかりました、では残りのメンバーはどうでしょう。最後に映った秋フェスのメンバーリストを見てみましょう。
プロデューサーから発表があった通り、秋フェスにはNGとラブライカは不参加。
蘭子と小梅の2人ユニットはローゼンブルクアルプトラウムに、
アスタリスクは夏樹と菜々さんが加わって*withなつななになるようです。
(ローゼンブルクアルプトラウムがリストにすでに記載されているので、新*の方のユニット名もこれで確定なんでしょうね)
そしてCIと凸レーションは同じメンバーで参加。
これを見るとCIと凸レーションは冒険しているのか疑問に思ってしまいそうですが、ユニットごとに成長速度や適性は違いますし、他のメンバーに変化が求められているのと同じくらい、変わらないでいるという選択肢もとても難しいものだと思います。それに16話でみくと菜々さん、17話で凸レーション、18話でCI、19話で李衣菜と夏樹の具体的な成長が描かれてきたように、メンバーは同じでも彼女たちもすでに冒険を始めていると考えるのが自然でしょう。
何よりもCPには(たとえ場所は違っても)全員揃ってプロジェクト存続という大冒険が待っているわけですからね。
その辺りのCPの絆の強さの描写は、きらりの「みんなの問題だからみ~んなで考えよう☆」という言葉に象徴されている通り、今回もしっかり描写されているのがまた嬉しいところ。焦点の当たるキャラクターはいるけど誰も脇役にならないのもデレマスのいいところですよね。
それからNGとラブライカ(美波)のそれぞれの決意が語られるシーンでは、異なるメンバーが見守っていましたね。あれには何か意図があるのでしょうか。
NGの方は
ラブライカの方は
という組み合わせですね。
ラブライカの方に蘭子がいるのは構成上当然だとして、他はどうでしょう。
凸レーションはセット、アスタリスクもセットですが、CIだけ智絵里、杏+かな子に分かれています。そして美嘉も。
屋上で美嘉が「あんたたちも輝けるよ」というシーンがあるので城ヶ崎姉妹はセットにする必要があるとすれば、この時点で4:1、残りのメンバーは5人です。均等にメンバー分けするならばNGにあと1人しか入れないわけですが、そこに智絵里が入ります。
あくまで想像ですが、アスタリスクは冒険の方向が違っては困る(というかこの2人もただならぬ関係なので別れてもらっちゃ困る)というスタッフの意図から消去法としてCIのメンバーを分けることにしたのではないでしょうか。だったら杏をNGの方に回せばあんきらとしても相性が良くなるのでは…とも考えられますが、そもそもこのシーンはあくまでCP全員で冒険することが語られるシーンなので、そこまできっちり分ける気はなかったのだと思います。ようするにこの考察自体特に意味はないと思います、失礼しました。
ただし20話の時点から気になっていた美嘉がいる理由は、多分これが関係している部分もあるのだと思いました。
あくまでもNGをライブデビューさせることになった(最初に輝きを教えてくれた)存在としての美嘉姉がいることによって、「最初の輝きが次の新しい輝きへ背中を押してくれる」ということを暗に表現することが目的だと思うのですが、見守る人数が均一でないと仲の良いメンバーと悪いメンバーがいるのではという邪推に繋がりそうなので、それを埋めるための役割もあったんだろうなと個人的には想像します。
5. シンデレラの物語、ついに終盤へ
2期が始まりすでに8話。2期も1期と同じく13話、あるいは12話構成だとすればすでに前編、中編が終わり、いよいよ後編が始まるタイミングです。
それを表すかのように迫る秋フェス。
20話の未央の爆弾発言からあっというまに時を越えて22話は秋フェスが描かれることになると思いますが、一体どうなっていくのでしょうか。少し予想してみます。
秋フェスが描かれると言った直後であれですが、22話では多分秋フェスについては描かれません、少なくともライブシーンはない、あるいはメインではないのではないでしょうか。
正直根拠らしい根拠はなく、デレマススタッフさんならやりかねないなという完全な思い込みなのですが…。
まず第一に、あくまでもライブシーン本番は冬フェスのものを描くはずだということです。もちろん膨大な作業量をこなすスタッフさんなら秋フェスのライブも素晴らしいクオリティで仕上げてくれそうですが、あくまでも目玉のライブは冬フェスのはずです。ヘタに秋フェスのライブを描いてしまうと、秋→冬への盛り上がりが緩やかになってしまう恐れがあります。
また構成上も秋フェスをちゃんと描かない理由があると思います。それは秋フェスの目的が「PKが大成功する一方で、CPが何かしらの失敗をして結果的に解散させられる」ということを狙っているのだと推測できるからです。残りの話数的には準備+ラスト回での25,26話を除いて22.23,24話しか残っていないはずです。その中で劇的なドラマを描くには、やはり今まで匂わせてきたCPの解散が不可欠だと思います。
つまり
22話でライブ失敗→解散、途方にくれるメンバー→23話で小さなきっかけ、打開策を見出し始めるプロデューサーやメンバー→24話で最後のチャンスをくださいと言って常務に交渉し、かろうじてチャンスを得るCPと戻ってくる凛とアーニャ
という展開が予想できます。
といっても、私自身打開策なんてまったく思いつかないので、解散は部分的に、あるいはライブ不参加の未央と卯月だけが対象外で除籍になり、そこからCPがうまくいかずに悩む、といった違いはあるかもしれません。
それからもう一つ理由があって、それはシンデレラのお話との対応のためです。
シンデレラでは舞踏会から帰ったあとに、シンデレラは魔法がとけて普通の女の子に戻っています。そのあとに王子様が見つけてくれるまでシンデレラは元の生活を続けなければならないので、これに対応するならばかなり辻褄があうな、と。
もっともこれは秋フェスが舞踏会であると仮定した場合なので、そうなった場合に冬フェスは何に対応するの?結婚式?という新たな疑問が出てきますが、まあそこは(仮)なので…(無理やり)
以上のことから次回は
冒頭でいきなりCP解散のお知らせ→ライブシーンの回想が始まる→PK大成功→CPも最初は成功→ところが途中で何かしら失敗→常務から解散を告げられる→CPメンバーが去っていく
という構成になるのではないかと。
本音を言えば誰にも悲しい思いをしてほしくないのでこの展開にならないことを祈っていますが、やっぱりデレマススタッフさんならやりそう。
最後がハッピーエンドになるとわかっていてもラスト手前のドキドキは怖いですね。
最後に次回のタイトルについて
これを最初に読んだとき真っ先に思いついた訳は「新たな光に会いに行こう」だったのですが、この記事を書いてる途中にそれは違うなと思い直しました。
素直に訳せば「星が見える最高の場所」なので、これはライブをしているメンバーの視点、あるいはライブを見ている人(未央と卯月含む)の視点を表していると思います。
しかし忘れてはいけないのは、1期6話でも「Finally, our day has come!」と幸せな雰囲気を漂わせておいて見事に鬱展開だったことです。要するにタイトルは展開の当てになりません。怖い。
番外. Project Kroneの映像から思うこと
今話は冒頭にProject Kroneの映像が流れました。
奏、ありす、フレデリカ、周子、文香、唯、アナスタシア、そして凛、奈緒、加蓮の10人のグループということになります。
美城常務の言う「お城にふさわしいお姫様」を体現する適切なメンバーがこの10人というわけですね。(中身がふさわしいか怪しい人がいるとかいうのは気にしない)
(それにしてもTPの衣装すごくいいですね、原作のカード衣装とは違うようです、特に加蓮の帽子がすごくキュート、これから加蓮+帽子が流行りそうで嬉しい)
そんな10人で描かれる新たな346プロブランドイメージを表すPV(21話の時点ではTPは映っていませんが)には色々と気になるところがあります。
順番に見ていきましょう。まずは具体的な言葉が書いてあるところ。
The brilliance took everyone's breath away.=その輝きは見る者すべてを魅了する
The story will never end.=永遠に終わることのないおとぎ話
ダークトーンの中に目を見張るような美しさを兼ね備えた少女達、美嘉姉が大人な女性への方向転換を迫られたように、美城常務の考えるブランドイメージというのはシンデレラなどのおとぎの世界から現れたような不思議でアダルトな美しさを持つ存在なのでしょう。黒という色にこだわりがあるようにも見えます。
では続いてPVの構成とストーリー
崩れたお城(小さすぎるような気もするので家?)、椅子の上にある紅いりんご(蔦?が周りを囲んでいる)、そこから各アイドルのイメージカット、りんごを掴むと美しい蝶が飛び立ち、その蝶が崩れたお城を再生する、そして手元に戻ってくる蝶
素直に考えると崩れたお城=ブランドイメージの曖昧な346プロをPKが再生するというシンプルなストーリーですね。蝶がお城を再生しているということは蝶=美しいブランドイメージ、ブランドイメージが出てくるところは…メディア?りんごはメディアを表しているのでしょうか、これはなんだかしっくりきません。そもそもりんごと言えばシンデレラではなく白雪姫ですし。もしも白雪姫がモチーフだとしたら、蝶=毒が溢れだしているとも考えられてしまいます。
とすればりんごにはもっと別の意味があるはずです。
他にりんごから想起されるものと言えば、旧約聖書に出てくる禁断の果実ですね。宗教や地域により解釈が違いますが、この果実には不道徳や快楽などの意味があります。
りんごの色が目を引くほど鮮やかな赤色をしていることと合わせて考えると、「怪しげな魅力であなたを虜にする」というような意味合いがあるのだと想像できます。
そうするとりんご=PKのアイドル自身であり、拾い上げている手は346プロ=常務でしょうか。最初の手が奏のものかはわからないので、この方向の解釈で良さそうな気がしますね。蝶が戻ってくる手は奏のものだとはっきり映っており、これはイメージが元のところ(アイドル)に帰ってくるということでしょう。ブランドイメージが広まることで346プロのイメージが変わり、それがさらにアイドル自身のイメージにも還元されるということですね。
途中で映るアイドルのイメージカット、これは「おとぎ話の世界に入る前の少女達」という演出なのでしょう。周子や唯はあまりブランドイメージにそったカットに見えないので…(唯が咥えているものが五平餅に見えたのは内緒)
それからアーニャのカットだけは画面のトーンが違いますね。他のカットはオレンジでオーバーレイをかけたようなトーンですが、アーニャだけ青いトーンになっています。背景に物体がなく、星だけが映っているところからもアーニャが他のメンバーとは少し違うこと(PKとCPの所属の違い)を表していると考えられます。
今回映ったPVの範囲で想像できるのはこれくらいでしょうか。後はTPが追加されたバージョンがどんな内容になるのかが気になるところ、今から23話が楽しみです。
以上、今回の感想と考察でした。
長文を読んでいただきありがとうございます。
20話の感想-彼女達の気持ちについて-
20話観ました。
胸が痛いです。
どこから書いていこうか悩みますが、何よりもまず言いたいことがあるのでそれについて、
未央のことを嫌いにならないであげてください。
未央がアイドルを辞めると言った1期6話後、ツイッターや掲示板では未央を誹謗中傷するようなコメントで溢れていたのを覚えています。
続きが放映されるにつれ、彼女が自身の行為を反省している姿や、CPのみんなと絆を深めていくことでその声は少なくなっていきましたが、それでも「未央のことは好きになれない」という声を今でもよく聞きます。
もちろんキャラクターの好みは人それぞれです、私がどうこう言えるものではありません。
しかし、もしも本田未央というキャラクターの気持ちを想像もせずに「気に食わない」「行動が理解できない」と嫌っているのなら、一度でいいので、彼女の気持ちを想像してみてほしいのです。
私なりの想像については、本記事の中でまとめます。
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今回はProject Kroneへの参加を持ちかけられたアナスタシアと凛、奈緒と加蓮
そして二人のユニットメンバーである美波と卯月、未央、それからその他のCPメンバー、それぞれの気持ちを想像しながら、彼女達の決断の裏側と真意について考えていきたいと思います。
美城常務から新プロジェクトへの参加を進められる凛とアナスタシア。
二人は悩みながらもそれぞれに決断し、そしてそれをメンバーに告げます。
その結果、
美波は何かを抱えつつもアーニャを後押しし
未央は凛の決断を受け入れられず、自身も新しい何かに挑戦するためかソロ活動を決断
卯月は混乱からどうしたらいいか分からず…しかし静かに何かを決断
奈緒と加蓮はデビューできること、凛とできることを喜び新しい挑戦へ足を踏み出す
今回の20話、すごく辛い回でしたが、同時にCPの強い絆と「彼女達が本当に成長するために必要なこと」を理解させられたように思います。
成長するために、人生には常に新しい出会いがあって、決断があって、挑戦があります。
今までの話でもそんなドラマが描かれてきたわけですが、それはCPという家があった上でのお話でした。
アイドルに成りたての彼女達にとって、CPというのはアイドルであるための基盤であり、拠り所です。そしてそれぞれがユニットとして活動していて、そこにはお互いへの信頼と愛情がある。
ではそれが無くなったら?環境が変わったら?
CPのアイドルとしてではなく、別のプロジェクトやユニットのアイドルとして活動するとき、彼女達はどうすればいいのかまだ知らないだけなのです。
常務のCP解体の危機を乗り越えて「アイドルであり続けること」を選んだ14人、そこからトップアイドルになるためには、多くの挑戦が必要になります。
1期、そして14話から19話で描かれてきた彼女達の努力と絆が試されるときが来てしまったわけですね。
今回の20話はそういう意味で最後の大きな成長への序章であり、続く話から最終話でどんな風に成長した彼女達が描かれるのか、今から不安と期待でいっぱいです。
それではまず凛の決断から掘り下げてみます。
卯月・未央と奈緒・加蓮
NGとTP
CPと(Project Krone)PK
これらの間で板挟みになり、決断を迫られた凛
頭が良い上に優しい彼女にとって、決断するのはとても辛いことだったでしょう
凛の決断は「新しい何かを確かめるためにTPに挑戦したい、NGも抜けない」
でしたね
「夢中になれる何か」を見つけるためにアイドルになった凛
NGを続ける中で少しずつその輪郭が見え始め、楓さんとの出会いで答えが完全に見つかりそうになっていた矢先、そこに「新しい何か」が現れてしまった
それが奈緒と加蓮の3人で歌うこと、それが実現できるTP
どこかで引っかかっていた凛にとって、対抗する常務からの提案とはいえ願ってもない最高の舞台だったでしょう
その上NGも解散する必要がないとなれば、この決断は予想できるものでした
しかし忘れてはいけないのは、この決断をする大きなきっかけになったファーストフード店での加蓮の言葉です
「でも私、このチャンス逃したくない」
「デビューしたいってのももちろんだけど…」
「私、奈緒と凛と3人で、もっと歌ってみたい」
この言葉の直前、凛は一度TPへの参加を断っています。
しかしその決断は、あくまでも「奈緒と加蓮をデビューさせてあげられる」という思いと「今のNGとCPを大切にする」という気持ちを天秤にかけた場合の決断だったのではないでしょうか。
奈緒と加蓮は大切な友達です。ですが今まで一緒に頑張ってきたのはNG、最もきらきらした思い出が詰まったユニット。加えてPKは対抗する常務のユニット、断ろうと考えるのも理解できます。
しかし加蓮の言葉には、「デビューはおまけで、あくまで3人で歌いたいから」という明確な思いがあります。つまり、加蓮と凛、そして奈緒は同じ気持ちだったのです。
「新しい何か」を知りたいと心のどこかで思っていても、それは自分のわがままで、卯月と未央に迷惑をかけるわけにはいかない。なんならそう思っているのは自分だけで、奈緒と加蓮はそう思っていないかもしれない…
そんな迷いから天秤にかけなかった「TPの3人で歌う」という思いは、加蓮の言葉で天秤に乗せられることになります。
「この前3人で合わせたとき、すごくいい感じだった」
「この3人なら、きっとすごいことができる、そう思えた」
「凛はどうなの?、あのとき…」
加蓮のまっすぐな思いが、決断した凛の思いを揺らします。
そして奈緒も。
奈緒も優しい子なので相手のことを第一に考えて身を引きがちですが、一度決めたらそこからは絶対に曲げない強い芯を持つ女の子です。
加蓮の「それでも私は賭けてみたいんだ、3人で歌うってことに」「私達が感じた何かは本物だって信じてるから」という言葉に心を動かされ、凛が来てくれたらTPとして頑張ると決意します。
可能性の話をするならば、奈緒と加蓮の2人をCPに引きこんで、NGと組み合わせたユニットなどを組むこともできたかもしれません。
しかしまだデビューしていない2人をCPの権限だけでデビューさせられるかは疑問であることに加えて、TPに卯月と未央が加わった場合でも凛が感じた「新しい何か」が感じられるかどうかは難しいところかもしれません。
それからNGというユニットがどのようにして組まれたかについて考えてみると、凛の迷いの根源が垣間見える気がします。
「夢中になれる何かを見つけるため」にある意味お試しで入ったCP、そこでメンバーと顔を合わせ、たまたま揃った3人。仲は確かにいいけれど、プロデューサーが選んでユニットデビューを決めた3人です。
最初のライブでいきなり未央の一騒動がありながらも、そこからは順調にユニットとして活動してきたNG。しかしまだ凛が「夢中になれる何か」がアイドルやNGであるという確信を持った描写はありませんでした。13話ラストの「楽しかった…と思う」が一番その気持ちが大きかったところではないでしょうか。
嫌な言い方をすると、NGは会社が決めたメンバーでのユニットであり、凛は社交性があるので誰と組んでもうまくやっていけるポテンシャルがあったのだから、3人の仲がいいのは不思議なことではありません。なんならラブライカ+凛も想像できますし、李衣菜とでも悪くないと思います。
しかし凛本人が組みたいと思うメンバーとユニットが組めることになったら?
凛がNGのことを大切に思っていることは間違いありませんし、彼女達の絆も信じています。しかし、そんな仲のいいユニットメンバーと天秤にかけられるほどの迷い、その気持ちの根源があるとしたら、この辺りにも可能性があると思いました。
凛の感じている「新しい何か」は、ひょっとしたらNGでは見つけられなかった「夢中になれる何か」なのではないでしょうか。
そしてこの凛の決断を聞いた卯月と未央。
この二人の思いは、さらに複雑なものだと思います。
まず未央の気持ち。
「私、やだよ」
未央は明確に拒絶します。
今までずっと一緒にやってきたのだから、当然の気持ちだと思います。未央自身はNGとこの3人は最も相性がいいと感じている上、自身のわがままから一度解散の危機に瀕しながらも大成功を収めた思い入れの強いユニット。そして今はCP存続のために一丸となって立ち上がりこれからだというタイミング、リーダーとしての自負が強い未央にとっても、凛のTP参加はなんとしても防ぎたいことなのでしょう。
そして何よりも、凛には強い信頼を感じていたからこそ、裏切られたように感じて強く反発してしまったのではないでしょうか。
「その新しい何か…って、ニュージェネじゃできない?」
「私達とじゃ、駄目なの?」
凛に自分達への信頼を問う言葉。はっきり言って、この言葉は本当にずるいです。
凛自身は本当に悩んだ末の決断、けれど、この未央の問いに対する答えもすでに凛の中にはあったはずです。
「NGでは感じたことのない何かが、TPにはある」
けれど、これを口にしてしまったら、二人を拒絶してしまうことになりかねません。それに同じものをNGで感じれる可能性はまだ0じゃない。凛の優しさと迷いが、曖昧な言葉になります。
「わからない…」
この曖昧な返事は、しかし未央にとってはNG間に感じていた信頼を壊すのには十分すぎるものでした。
最後の望みをこめて卯月に聞いてみた答えも
「わかりません…」
ずっと自分のアイドルとしての存在と同義であったNG、これが2人の曖昧な言葉を受けて、未央本人にとっても「わからなくなった」のだと思います。
未央が逃げ出したのは、気持ちがわからなくなった2人から逃げたいという気持ちの他に、どうしたらいいかわからないことへの恐怖から逃げるためだったのでしょう。
1期6話でもそうでしたが、未央は他の人とは少し異なる特徴があります。
それは感情に正直で、すぐに行動に表してしまうというところです。
直情的、というほど激しいわけではありませんが、自分が納得いかないことには明確に反発を示すのです。
普段はこの気持ちをすぐに明確にする部分がポジティブに働いて、人間関係やNGの中で良い反応を生み出しているのだと思います。しかし複雑な気持ちの絡む内容のときや、集団で何かを決めるときには、自身の望むものと異なる結論が出てしまうとこれに激しく反発し、他の人の冷静な対応との対比によって理解しがたい行動のように見えてしまいます。
未央本人は一時的に感情的になりやすいだけで、時間が経てばすぐに冷静に自分の行動を見直すことができます。しかしその頃にはすでに簡単には取り返しがつかなくなっており、後に引けずにムキになってしまうのです。
その場から逃げだした未央、追いかけるプロデューサー。
そして、卯月と凛に相談することもなく、後日ミーティングでソロ活動を発表することになります。
これだけ見ると未央は一体何をしているのか理解できませんが、ここから未央とプロデューサーの1期との違いを確認することができます。
まず第一に、未央は「ちょっと出てくる」と言って逃げ出しています。1期6話の時点での未央であればNGの解散をにおわせる発言があってもおかしくなかったと思います。(未央を馬鹿にしているわけではないです。)
さらに未央は346プロの外ではなく、屋上へ行きます。逃げたのはあくまでも冷静になるために場所を移したかったことと、信頼を裏切られたと感じて流した涙を2人に見られたくなかったという理由からだったのではないでしょうか。
そしてこの場面でプロデューサーも1期より成長していることが見て取れます。
階段を駆け上る未央とすれ違ったプロデューサーは、すぐに状況を悟って未央を追いかけています。
この場面、1期6話のプロデューサーとNGの行動が対比になっています。
6話:プロデューサーが立ち尽くす、未央が走り出す、凛と卯月が追いかける
20話:プロデューサーが追いかける、未央が走り出す、凛と卯月は追いかけられない
あのときとは状況が異なるので単純な比較はできませんが、すぐには何もできなかったプロデューサーが今度は即座に未央をケアできているところに成長を感じます。
屋上で未央を見つけた直後のプロデューサーの表情にも安堵→決意が見て取れますね。
では未央のソロ活動という決断、ここにはどんな狙いがあるのでしょう。
最初に言えることは、これが決してネガティブな判断ではないということです。
というのは、まず屋上で泣く未央に近づくプロデューサーのシーンを考えれば、そのあと2人がNGの今後について、何かしらの相談をしていることが想像できるからです。
さらにエンドロール中で何かを考えている凛と卯月に続いて、未央も何かを強く決意したかのように目を見開き、ベッドの上には舞踏会に向けて特訓の参考に借りた本が置かれています。
また、今週のNO MAKEの中でCPのみんなにPKと未央の件を話そうと決意するプロデューサーの姿が描かれていましたが、そこでのプロデューサーの発言とちひろさんの「プロデューサーさんの顔を見ていると、大丈夫だと思えます」という言葉から、未央のソロ活動についても何かしらポジティブな考えがあると推測することができます。
これらの材料から考えると、凛のTP参加への反発、あるいはその後押しのために未央がいたずらにソロ活動発言をしたわけではなく、ちゃんと狙いがあって言っているのではないかと考えられるのです。
ではその狙いとは?
まず考えられるのは、これが凛をTPとしての活動により専念させるための準備の一つである、というものです。
未央がNGを解散させずに大事にして、かつ凛の気持ちをちゃんと組んであげられているという前提を置くと、
「ひとまずしぶりんにはTPで新しい何かを見つけられるように頑張ってもらって、その上で本当に活動したいのはNGとTPのどちらなのか、決めてもらおう。そのためにはNGの活動を少し抑えて、自分自身のパワーアップが必要だよね。」
という未央の気持ちを想像することができます。
NGかTPかの最終判断は凛に任せるとして、そのためにNGの活動時間を減らしてTPの方に時間を費やしてもらう必要がある。
けれどその間未央や卯月はアイドルの活動が減ってしまうし、何もしなかったらパワーダウンして凛が帰ってきたときにがっかりさせてしまう。
ならばいっそのことソロ活動して、凛が帰ってくるまでの間個人としてのスキルを磨く。仮に凛がTPを選んだとしても、自分はソロとしてアイドルを続けられる。
こういった真意が見えてきます。
この仮説の場合、卯月になんの相談もなしに未央個人が決断したというところが少し気になりますが、これは未央に「先に決断することで卯月にもソロ活動を決断してもらおう」という考えがあるとすれば理解できなくはないでしょう。あるいはプロデューサーと相談した結果、卯月とCPの誰か(追加加入メンバー含む)がすでに新ユニットを組める用意があるということであれば、未央とプロデューサーが相談していた内容と未央の卯月への気づかいがまとめて理解できます。
まとめると、未央はNGを諦めておらず、その上で自身のパワーアップと凛が戻ってこなかった場合のアイドル活動の可能性を模索しているということになります。
では一方の卯月はどうするのか。
正直言ってこっちの方が選択肢が多くて判断が難しいです。
まず卯月の気持ちを考えてみます。
19話の中ですでに見え隠れしていたように、卯月はTPの歌声を聞いて凛がNGからいなくなってしまう→自身がアイドルを続けられない可能性を考えて不安がっています。
前記事で書いた通り、養成所でギリギリプロデューサーに拾ってもらえた卯月は人一倍普通の女の子に戻ることを恐れているので、どうしてもNGを続けたいと考えているでしょう。
しかし、ここで最初の疑問として「卯月は本当にNGの存続を望んでいるのか」という点を考える必要があります。
CPに拾われた卯月はアイドルとしてデビューできると喜び、最初のデビューメンバーに選ばれてからずっとアイドルを頑張ってきました。
しかし1話ラストで凛が惚れた卯月の笑顔、これはあくまでも「アイドルになるという夢を叶えられる」ことに対する笑顔であり、NGというユニットを組めることに対する笑顔ではありません。
そしてそれ以降の話の中でも卯月は間違いなくNGのメンバーであり、3人は絆で結ばれていると感じられますが、よく考えてみるとどこか一歩自身なさげなままアイドルを続けています。これは卯月自身の謙虚な性格と「頑張ります」という口癖からそのように感じてしまっているだけかもしれないのですが、卯月にはどこかで優秀な2人の足を引っ張ってしまっているというネガティブな思いがあるのかもしれません。
また良く考えてみると、アイドルとしてデビューするという夢自体はもう叶っており、ここから先何を目指すのかという明確な目標は卯月自身にはない可能性があります。(周りに合わせて自分も頑張っているだけ)
実際に20話の中で本を持ってくる未央に対して「私、こういうの思いつかなくて、新しいこと考えるの苦手なのかも」という発言と不安げな表情から、未央に対する尊敬以外に劣等感も感じているように見えます。
さらに決定的なのは、凛がTPの加入理由について話している場面。
凛の「感じたんだ、新しい何かを」のところでは困惑する未央に対して、どこかピンとこないような表情で聞いている卯月、そしてその後の凛の「それを確かめたいの!」という強い言葉を受けて、卯月は不思議な表情をしています。
最初にみたときは私も何を考えている表情なのかわからなかったのですが、こうして改めて考えてみると、あれは「自分には凛のように何かを感じられないし、それを確かめようと思う明確な強い意志がない」ということを悟ってしまい、自分のアイドルとしての適性のなさを痛感して困惑している表情だったのではないでしょうか。
そうして自分はNGにいていいのかと心のどこかで思っていた矢先に凛のTPへの参加、自身のアイドル適性の無さの痛感、それらを受けて自分はアイドルを辞めた方がいいという気持ちとNGを続けたいという気持ちがまざりあって「わかりません…」という言葉が出たのだと思います。
こうした卯月の気持ちを想像していたのですが、不思議なことにエンドロールでの卯月の表情はとても強い意志を感じるものでした。
この表情は、何を決意している表情なのでしょうか?
まず考えられる2択は当然「アイドルを辞めるか否か」でしょう。
しかしここで安易に辞めようという決意を固めたと考えるのは早計な気がします。実際翌日普通に卯月は事務所にやってきていますし、あの表情はどちらかというと何か大きなことに挑戦しようとしている表情に見えます。
ではその大きな挑戦とは?、考えられるのは2つ。
1つは「凛が帰ってくるのを待つという決意」
16話で未央に「どうすればいいと思う」と聞かれた卯月は「今できることを頑張る」と答えています。この何気ない選択肢はアイドルである島村卯月にとって、唯一できることである可能性があります。先ほど述べたように卯月は2人に対して少なからず劣等感を抱いています。新しいことを思い付けない自分を不甲斐なく思う卯月にとって、自分が唯一できることは何か―、エンドロール、布団中で卯月が考え出した答えは「私はNGが好き、だから今できること、NGの島村卯月として頑張り続ける」だったのではないでしょうか。
凛がTPに参加することでNGの活動は減るかもしれない。ひょっとしたら一時的に休止になるかもしれない。けれど、そんな中でもNGとして夢だったアイドルを続けていくために、そして凛が帰ってこれる場所を無くさないように、自分は未央や凛のように新しいことは思いつかないから、NGだけを精一杯やりきろう。
今までの卯月の発言や、NGという凛が最期に戻って来るであろう場所、そして何よりも本アニメにおいて笑顔の象徴である卯月という存在が最高に輝ける場所は、やっぱりNG以外に考えられないのです。
この考えならばあの表情にも納得がいきます。
もう1つは、「ソロ活動を始めるという決意」
未央と同じように卯月もソロ活動しようと決意していた可能性もあると思います。
書いてきたように卯月は2人に申し訳ない気持ちがある。けれどアイドルは続けたい。どちらの条件も満たすならば、ソロ活動という選択肢は十分あり得ます。そうして今まで2人に頼りきりだった自分を克服するためにもソロで活動を続け、もしも凛が戻ってくることがあるならばそのときにパワーアップした自分を見せよう。
そんな卯月らしい「頑張ります」な決意も悪くないのではないでしょうか。
これならば次回冒頭で「私もソロ活動しようと考えてました」という繋ぎから凛を送り出して仲直りする2人、それぞれソロとTPで活動し努力する3人、さらに美波の活動内容についてもヒントを与えられそうです。
それでは次にアナスタシアの決断について考えてみましょう。
凛と同じようにアナスタシアも
美波の気持ちと自分の気持ち
ラブライカとソロ活動
CPとPK
の間で悩むことになります。
しかしアーニャの場合、挑戦する勇気についての描写、即ちアナスタシアの成長についてをメインに描かれていたように見えました。
これまでCPのメンバーについては
15話で凛、未央、卯月
16話でみく(+李衣菜)
17話できらり、みりあ、莉嘉
18話で杏、智絵里、かな子
19話で李衣菜(+みく)
の成長がそれぞれ丁寧に描かれてきたと思いますが、お分かりの通りまだ美波、アナスタシア、蘭子の成長についてはメインで焦点は当てられていませんでした。
なので今回の20話はアナスタシアの回だったと考えていいと思います。
ついでに蘭子と美波の成長回についての予想ですが、美波回は少なくとも21話か23話で描かれると思います。
というのは、後述しますが、今回のアナスタシアの決断に対する美波の反応は明らかに無理をしているように見えましたし、何か言いたいことを我慢して飲み込んでいる感じがしました。
(NG回は恐らく2話分使うと思うので)21話と22話が未央のソロ活動の真意説明、凛のTP活動、卯月の決断、仲直りまで含んだ回になるとすると、23話でアーニャのソロ活動、そして美波の本当の気持ちについての話になると予想します。あるいはその逆もあり得るので。
(正直なところ美波の本心が鍵になってNGが仲直りする気がするので、間の回もあり得る)
全26話だとすれば最後は間違いなく大きなライブ回、25話が準備回のはずなので、残る23、24話のうちどちらかで蘭子回がありそうです。また2期はCP以外の楓さんや菜々さんなどの先輩アイドルにもスポットが当たっているので、そのまとめのような回もあるでしょう。
アナスタシアの話に戻ります。
みんなと同じようにアイドルに成りたてのアーニャにとっても、CPという家の中でのアイドル=ラブライカという認識だったはずです。
とくにアーニャは一番年長者である美波との2人ユニット、1期で明確なアナスタシア回がなかった(美波は12話がそれにあたるように思う)ことを考えると、美波に頼りすぎていることをどこかで気にしていたのでしょう。
今回も解散しないとはいえ、ソロ活動をするに当たって美波に相談しようとするアーニャ、しかし電話を取り出してはやめ、最後まで相談することなく一人で決断します。
ユニットメンバーに相談するのは普通のように思えますが、今回の件に関しては結局のところ「アーニャがどうしたいのか」の問題でしかありません。常務も言っていたように自らの可能性を伸ばせるチャンス、それを掴むか決めるのは自分。
相談してしまった場合、最終的な決断は「ラブライカでの決断」になってしまいますし、美波の本心が「行ってほしくない」であることはアーニャは分かっているはずなので、相談した段階で美波を苦しめることになってしまいます。
そうした意図と文香や合宿のときの美波の言葉、蘭子の「挑戦することは楽しい」、それらを考えてアーニャは「一人で決断すること」が壁を乗り越えるために必要だと考えます。
挑戦すること、変わることは怖い、けれど、その先に今までよりももっと笑顔になれる可能性を感じたなら―
アーニャの相談に対するプロデューサーの言葉、本当に感動しました。
プロジェクトの存続という会社的な視点ではない、本当に彼女達のことを第一に考えて支えてくれる、最高のプロデューサーであると再認識できました。
アーニャの決断、「あのときよりももっと笑顔になれる可能性を信じて、挑戦してみたい」
単純に考えればPKへの参加は成功する確率と失敗する確率が50%の賭けです。
しかし飛び込んでみなければ可能性は0%。
成功する可能性が0%と50%なら、挑戦してみることは無駄じゃない。
むしろ失敗してみて初めてわかることもある。
アーニャの決断からは1期の頃にはあまり感じられなかった、アイドルとしてのアーニャの気持ちが感じられました。
他のCPメンバーもそうでしたが、アイドルとしての気持ちの変化が明確で、それが成長だと感じられるのでしょう。
一方で美波の方はどこか寂しそうな印象を受けました。
たまたまプロデューサーとの会話を聞いていた美波、屋上の噴水でアーニャの気持ちを聞いて何を思ったのでしょうか。
相談しなかったことについて怒っているか、という問いに対しての美波は優しげに微笑んで否定しています。
これに関しては恐らく本心で、相談されたこと自体には怒っても悲しんでもいないと思います。むしろアーニャが一人で決断できたことを喜んでいるでしょう。
しかしもう一つアーニャに言えない秘めた気持ちがあるとすれば、それは自分よりも一歩先に成長してしまったアーニャに置いていかれたような寂しさだったのではないでしょうか。
1期の中で一度は自分が一番年長であるということを意識しすぎて無理をした美波、けれどアナスタシアとCPのみんなもちゃんと支えてくれていて、平等な仲間だと再認識できた。
しかしここにきてみんなが少女からアイドルへ確実に成長していて、その中ですでに大人になってしまっている自分は…という不安もあるのでしょうか。ずっと一緒にはいられないという考えたことがなかった事実にも気付いてしまったような気がします。
「星」
「ここからじゃ、あまり見えないね」
「はい、でも…今見えないだけ…」
「きっと…そうだね」
13話で映った夜空と対比するかのように、曇った夜空。
今のCPの現状、悩む凛やアナスタシア達を象徴するかのようです。
この辺りの心理描写と対比描写のうまさは本当にすごいとしかいいようがありません。
「この空の下」も本当にいい歌でした。
歌詞を起こしてみます。
聞こえてくるみんなの声が
いつも通りのなれたこの景色
怒られたり泣いたりしたり
大切なこと教えてくれたね
変わらなければ 気付いたときに
少しだけ切なくて 迷ったけれど
自分の道を進むと決めた
いつかこの空の下 夢をつかむため
ずっと 前に向かっていくから
明日出会える笑顔 信じているから
もっと もっと頑張れるように
あの星に願おう
20話の内容を象徴するような歌詞ですね。
そしてしっかりとキーワードである「笑顔」が入っていて、それを信じているから―
20話、本当に見ていて辛かったのですが、それは変わろうと彼女達が頑張っているからこそ感じられるものであり、その中にあっても1期とは違う強い意志、決意、たくましさを感じられて、嬉しい部分もありました。
次回も辛い回になりそうですが、挑戦する彼女達の姿を最後まで見届けてあげたいと思います。
19話の感想-自分にとってのロック-
19話見ました。
アスタリスク解散しなくてよかったああああああ!!!!
それからなつなな結成おめでとうございます!!
4コマでこのコンビを予言していたすごい方がいらっしゃいましたね、ほんとよく思いつくなぁ…
考えてみるとアスタリスクとタッグになるとすごくいいコンビですね
にわかロック+猫キャラ
ガチロック+兎キャラ
キャリア的にも菜々さんが先輩なので、ある意味アスタリスクの上位互換ユニットみたいなものでしょうか?
となるとユニット名が気になりますね、アスタリスクはラテン語で小さな星、アバウトにはアスター(星)+リスク(小さな)みたいな意味に分かれているそうなので、アスターとか?
でもせっかくウサミンがいるのでいっそウサミンアスターに…
ユニット名発表が楽しみです、あとロックなダンスについていけるか菜々さんの腰が心配です、もう歳ですから…
それから19話を見る前に
「何故みくと李衣菜の回を別にしたんだ?」
と疑問に思っていたんですが、これはなつなな結成のためだった気がします。
凸レーション回のように本来はみくと李衣菜を同時に出すこともできたと思いますが、一緒に出さなければならない助言役である菜々さんと夏樹もこれと類似なユニット(なつなな)として出したかった。しかし原作設定のままだと絡めやすい接点がないことに加え、両者の成長もしっかり描きたかったため、アスタリスクと合わせて1話に収めるには容量オーバーだった…という感じかなと。
14話でさりげなく夏樹が登場したのもこの1話の容量の関係で、心理描写を丁寧に描きたいスタッフとしては少なくとも李衣菜と夏樹が出会うシーンは事前に出しておきたかったのでしょう。
また16話で先に菜々みく回をやっておいたのも最終的になつななを結成するためで、順番を逆にしてしまうと菜々さんというキャラクターの掘り下げがされていないので違和感が出てしまいます。よく考えられてるなぁ。
さて、改めて今回も本当に素晴らしい回でした…
もう本当に言葉にできないくらい感動しっぱなしで、うまく文章にできないかもしれませんが、自分なりの好きを表現するために頑張って書いてみたいと思います。
今回も一部のキャラクター(コンビ)ごとに思うところがあったので、いくつかの項目に分けて書いてみます
1. 李衣菜の心の動き‐アスタリスクとみくという存在
2. 夏樹の決断
3. 次回予想‐トライアドプリムス結成と卯月の苦しみ
4. その他小ネタ
1. 李衣菜の心の動き‐アスタリスクとみくという存在
今回の19話は李衣菜、夏樹、みくの3人がユニットや新規プロジェクトの問題で悩み、それを乗り越えるお話でした。
特に李衣菜はみくと夏樹の両方と繋がる板挟みなポジションなので、その葛藤の様子(心の動き)がとても丁寧に描かれていたように思います。作画が今まで以上に綺麗だったのもあって、より繊細に感じられたのも嬉しかったです。
順番に見ていきましょう。
アバンから(仲良く)喧嘩するアスタリスクの2人、16話で菜々さんと一緒に壁を乗り越えて「自分を曲げない」と誓ったみくにゃんは、今までよりもやや頑固?になっているようです。
常務に追い出されて廊下で話し合っているNG達のシーンの前に李衣菜が水(ラベル的にはスポドリの可能性もある)を買うシーンがありますが、ここで
「私も早く考えなきゃ」
と言っています。みくの個性を貫く姿勢を受けて、自分もユニットの一員として頑張らなきゃと少し焦っているようにも感じられます。
この後NG達の「夏樹がアイドルロックバンドを組む」という噂を聞いて李衣菜の葛藤が始まります。
というのは、14話で夏樹と出会っていた李衣菜は心のどこかで
「夏樹と組んだらロックなユニットになる」
と考えていたんじゃないでしょうか。つまりは李衣菜にとっての個性を体現する(自分を曲げない)もっとも理想的なユニットの一員として考えていた夏樹が、自分とユニットを組む可能性が無くなってしまうわけです。
もちろんアスタリスクも大切なユニットですし、本気でそうできるとは考えていなかったでしょう。ひょっとしたら夏樹があの常務に嫌がらせを受けていないか心配していただけかもしれませんね。
しかしこの後、たまたま通勤してきた夏樹と出くわして彼女と親しくなることで、結果的に李衣菜はさらに悩むことになります。
にわかを丸出しにしながらも自分をロック好きだと認めてくれ、優しく接してくれる夏樹、そして自作したという曲を聞いて、李衣菜は本当の“ロック好き”を目指して行動を始めます。きっと「私もこんな曲を作れるようになりたい」と思ったのでしょう。
CDを買ったり本格的にギターの練習に取り組む李衣菜、ロック好きと公言していても
あまり具体的には調べていなかった彼女は、自分の好きだと言っていたロックの世界の奥深さを知るたびににわくわくしていたと思います。
そして決定的だったのは夏樹の生ライブ。
実際に見に行ったことがある方は分かるかと思いますが、生のライブというのは本当にすごい迫力です。何千回CDを聞いたりDVDを見たりしても絶対に味わえない熱量、身体が揺れるほどの圧倒的な音、アーティストとファンと自分が一体になる感覚。しかも武道館などの広い会場とインディーズのライブハウスなど、規模によってもかなり感覚は違います。
李衣菜自身は夏フェスで大きなライブを出演側でやっていますが、観客側ではまた違う感動があります。
案の定ロック好きだった李衣菜は、これで完全に本当のロックと夏樹の虜になります。
自分のロック好きを認めてくれる夏樹、ライブの臨場感、今までCPやアスタリスクで感じていた感動とはまた違う感動に李衣菜は戸惑い始めます。
「自分が本当に好きなのはどっち?」
アスタリスクと夏樹とのロックな日々、それに魅かれて自分の個性を表現する最適な場所がどちらか分からなくなり始めると同時に、みくへの罪悪感があったのではないでしょうか。
子供の頃に経験はありませんか?
ずっと仲良しの友達がいる。
あるとき初めてあった子と意気投合し、遊んでみたらすごく楽しい。
自分の知らなかったことをいっぱい知っていて、体験したことのないことを体験させてくれる。
そうして新しくできた友達とばかり遊んでいたら、仲良しだった友達との時間が減ってしまっていることに気付いて、ふとした瞬間に罪悪感を感じる―
時とともに友達が変わるのは普通のことです。
環境や経験の量が変わればそれに伴って新しい人付き合いは増えるもので、そうして人は成長していくと思います。
李衣菜もこれに近い感情があったかもしれません。一番好きなのはみくちゃん…のはずなんだけど、なつきちといるのも楽しい。
ユニットとしての問題だけでなく、みくという友達との距離感も少しぎこちなくなっていたように思います。
実際に撮影でも上の空、ユニット会議中?や楽屋でも思うようにコミュニケーションがとれない2人…、みてて辛かったですね。
この辺りの李衣菜とみくとの心の距離は、シーン演出でうまく表現されています。
例えばCP事務所でみくが「悩み事があるなら言ってほしいにゃ、パートナーなんだから力になりたい」と聞いた直後、2人が画面中央ではなく、李衣菜側に大きくスペースができるように描かれています。
これは李衣菜の「みくちゃんに言えない秘めた感情」をスペースと灰色のコンクリートの壁で隠喩的に表しているのだと思います。よく見ると右下は影で暗くなっていますし、李衣菜が笑顔なので「笑顔の裏側では…」という表現ともとれます。
またみくには手前のテレビ台や雑貨が被っているので、これも「隠し事、後ろめたいこと」の表現の一部かもしれません。
この直後、みくが「本当に?」と念を押した後のこの斜めローアングルのカットも同様です。
李衣菜の顔(表情)を見せないことで、感情の分からない嘘の発言であるという表現になっています。
ちなみに後の楽屋のシーンでも李衣菜の完全な表情は1カットどころかガラス越しにすら映りません。(これはNGと凸レーションの表情を強調して間接的に状況を示す手法でもあると思いますが。)
しかしそれでも今ままで一緒に困難を乗り越えてきたアスタリスク。
李衣菜はようやく自分の一番大切な存在に気づき始めます。
「何やってんだろう…私」
ロック好きの象徴であるヘッドホンをはずすことで、目を覚まし始めたことを示しています。
夏樹は大切な友達、ロックのこともたくさん教えてくれたし楽しい、…けど、アスタリスクだって、みくだって本当に大切な存在。
ここから夏樹とロックに傾きすぎていた気持ちを李衣菜は修正し始めます。
直後の楽屋シーンでなんとか会話しようと試みているところからもそれが感じられます。
しかし修正しきれないままアスタリスクの単独?ライブへ。
まだぎこちないままの2人は楽屋だけでなく、ライブでもどこかぎこちないままでした。
どこか表情が固い二人、噛み合わないジャンプのタイミング。
それを見抜いているかのように夏樹も冴えない表情です。
そして案の定ライブでちょっとした失敗をしてしまう2人。
この段階でもまだ李衣菜は修正しきれていませんでした。
けれど、この後パートナーの気持ちを聞いて李衣菜は自分の本当の気持ちに気付きます。
様子がおかしい李衣菜を心配して、ずっと悩んでいたみく。
夏樹と会っていることを知って、李衣菜が本当はどうしたいのかも見抜いていました。
「李衣菜ちゃんがもっと本格的にロックをやりたいのは知ってる…そのためには、みくなんかよりも…、でもだからこそ、みくは頑張らなきゃいけない、李衣菜ちゃんが迷わないように」
パートナーのことを一心に思って一人で頑張っていたみく、それを聞いて李衣菜は自分勝手だった自分のことがすごく恥ずかしくなったのではないでしょうか。
けれどそれよりも一人で最高のユニットにしようと無茶していたみくのことを知って怒ります。
「ユニットなんだから、一緒に頑張らなきゃ駄目じゃん!」
お互いに相手の気持ちを勝手に想像して無理して頑張って、相談もしなかった、ユニットはそれじゃだめなんだ。きっと李衣菜は自分自身にも怒っていたんでしょう。
ロックが好き
夏樹は色んなことを教えてくれた
夏樹と組んだら本格的にロックができるかもしれない
けど―
「自分がロックだと思ったら、それがロックなんだって!」
「アスタリスクが、私にとってのロックなの!」
李衣菜の本当の気持ち。
苦しんで苦しんで、悩んで悩んで、ようやく2人で見つけた答え。
「そんな心配させる私こそ、パートナー失格だよね…」
そしてちゃんと謝る良い子。
アスタリスクは武内Pが予想していた通り、本当に相性の良いユニットだと思いました。
このシーンでの表情の変化も本当に丁寧に描かれていて、思わず涙が出ました。
この後、夏樹が開いてくれたにわかロック解散ライブ。
そこで完全に気持ちを断ち切った李衣菜と夏樹、そしてみくが加わって、二人は改めてアスタリスクとして、友達として、階段を一つ昇りました。
アスタリスク最高!!!
それから場面はささやかでしたが、みくが武内Pに「みく達を信じてほしいにゃ!」と言って自分達でなんとかする決意をしたことも大きな意味があると思います。
これまではどこか武内Pに頼りっきりだった部分もあった中で、李衣菜や夏樹も例にもれず自力で困難を乗り越えるように成長したという部分がはっきり描かれていてよかったです。アイドルとプロデューサー、お互いの強い信頼関係が順調に育っているのが分かります。
(その信頼関係が20話では今まで以上に試されることになりそうですが、どきどきしながら待つことにします。)
2. 夏樹の決断
次は夏樹に注目してみます。
ギターが超絶うまい有名ロックアイドルの木村夏樹。
彼女は19話で常務から不自由なアイドルロックバンドユニットへの参加を提案されて悩みます。
彼女の葛藤は
「面白い仲間と新しい挑戦ができる、けれどそれは常務に決められた通りの自由のないユニット、参加したら自分達で曲を作ったりはできない…」
「けど、1流のスタッフを用意してくれるらしい、ステップアップのためには、ときにはわがままを言えないこともある、これは、チャンスなのかもしれない―」
という「一時的にでも個性を捨ててステップアップを選ぶか否か」の悩みだったと推測できます。
松永涼、星輝子という個性派なメンバーと一緒のユニットなのにそれを台無しにする提案、常務は本当に346プロを成長させる気があるのでしょうか。(正直、明確な反発を起こすためとはいえ常務の発言を過激にしすぎな感はありました)
しかしそんなときに李衣菜と出会い、夏樹は自分なりの答えを見つけていきます。
(※このシーンではまだ常務から詳細は聞かされていない)
そもそも一つ不思議な点があります。
「何故夏樹と李衣菜は仲が良いのか?」
というのも、夏樹はギターがうまいロックを本当に愛している人間です。
一方で李衣菜はロック好きを公言するも具体的な知識がなく、ギターも練習しているといいつつ一向に引けないにわかです。(アイドルなのでステージ経験はありますが…)
経験がある方はわかると思いますが、にわかな人間というのは大抵はものすごくめんどくさいです。プロフェッショナルな人からすればむしろイライラすることも多いでしょうから、付き合っているということはまずないでしょう。
にも関わらずだりなつは仲が良い?
これは次のいくつかの理由によると思います。
・単純に相性が良い
・李衣菜はにわかロック好きというキャラで人気がある
・同じアイドルとして見れば問題ない
・夏樹はそういうのは気にしない
・調べていないだけで李衣菜は本当にロックが好き
大事なのは下の2つです。
つまり夏樹は李衣菜がにわかであると理解した上でそれ自体はあまり気にしないタイプで、けれど本当にロックが好きである李衣菜のことは認めていて付き合っている。
要するに夏樹もすごいし李衣菜もすごい。結果から言えば相性が良かったわけですね。
さて、そんな組み合わせの2人。夏樹は李衣菜と出会うことで図らずも大切なことに気付くことになります。
最初は同じ事務所のアイドル仲間、ロック好きという共通点から李衣菜と付き合う夏樹は、友達としてライブに誘ったり、ギターの練習につきあったりします。
そんな折、常務からの提案に迷い気晴らしにバイクで海へ、李衣菜も一緒に行きます。
話をしていると無邪気な笑顔で
「もっとうまくなって、なつきちみたいなかっこいいライブをいつか私もやるんだ!」
悩んでいた夏樹にストレートな気持ちが刺さります。
「ロックはかっこいいもの」
今自分がやろうとしていることは、かっこいいことなのだろうか?
いいなりでデビューして、渡された通りの曲をやって、それはロックと言えるのか?
昔の自分がロックを目指した理由、それは単純にかっこいいからだったはず―
あくまで推測ですが、そんな思いが夏樹にはあったのかもしれません。
ギターがプロとしてやっていけるほどうまくなり、ロックアイドルとしてデビューもしている。どこかで技術や成功を気にして、純粋に好きだった気持ちを忘れかけていたかもしれない。それを李衣菜が気付かせてくれた。
にわかロック解散ライブのときの発言から、この時点で完全には気持ちは決まっていなかったようですが、大きなヒントにはなったのでしょう。
そしてアスタリスクの2人が楽屋でお互いの本当の気持ちに気付くのを聞いていた夏樹。
「自分がロックだと思ったら、それがロック」
李衣菜が言い訳のように使っていると思っていたこの言葉が、こんなに重要な意味を持つとは思ってもみませんでした。夏樹にとってもそうだったようです。
結局のところ答えはシンプルで
「自分はどうしたいのか」
だったんですね。
そしてそれに従って夏樹は李衣菜に最後のわがままを言います。
きっと夏樹の方も、本当に李衣菜に惚れこんでいたんじゃないでしょうか。
だから自分の決断の後押しと一緒に、アスタリスクの邪魔をしないように、李衣菜とのユニットというかすかな願いを断ち切るために、にわかロック解散ライブを開いたんだと思います。
ここのなつきち、今までのイメージと違ってすごく美人で思わずドキッとしました。
かっこいい言動で忘れがちですが、夏樹もまだ18歳の女の子なんですよね。色々なことで悩んで、傷ついて、少しずつ成長していく大変な時期。卯月が武内Pと出会えたように、夏樹も李衣菜と出会うことができて本当に良かったと感じさせられます。
そして悔いのないようにめいっぱいライブを楽しむなつきち。
どのカットをピックアップしてもすごくかっこよくて楽しそうです。
そうして無事に気持ちを吹っ切れた夏樹。
最後に常務の誘いをロックに断ってCBPに加入&なつななを結成します。
(なつなな結成時の2人の反応気になるなぁ…)
良かったね、なつきち!
3. 次回予想‐トライアドプリムス結成と卯月の苦しみ
さて続いては次回の内容について推測してみます。
といってもエピローグで常務のPC画面にヒントが映っていたのでわかりやすいと思いますが。見ての通りトライアドプリムスの結成回になると思います。
2期で加蓮と奈緒が登場してから今か今かと期待されたトラプリ結成ですが、案の定綺麗に結成されるわけではなさそうです。
常務が決めたユニットというだけでも不安なのですが、何より怖いのは卯月がどうなるのかわからないところ。
今回の19話中にはその伏線になりそうな部分がこれでもかと詰め込まれています。
順番に見ていきましょう。
まずは冒頭、加蓮と奈緒が凛と一緒にNGの曲を歌ったシーン。
正直この時点で「あ、やばいな」と思いました。
NGよりもこっちの三人の歌声の方が明らかに相性が良いと感じたからです。
もちろん中の人含めNGの3人の歌も好きです、ですが明らかにトラプリの声の重なりの方が綺麗。ひょっとするとそうなるように加工しているかもしれませんが、それにしてもはっきり分かってびっくり。
これ、元からアニメ化を予想してキャスト選んでたとしたらスタッフさんはマジで全知全能の神の可能性が高い。
もちろん常務もそれを敏感に感じ取ったようで、冒頭レッスン室の扉をあけたところですでにトラプリを考えていたのが分かります。(ちなみにどのくらい敏感だったかと言うと、NGの曲のサビの「初めまして~♪」の最初の「は」を聞いただけで気付いていたようです、どんだけ耳いいんだよ)
そしてこのシーンで凛自身も相性の良さを実感します。
意味深なアップと視線移動。
「このメンバーで歌ってると気持ちいいな…」と思っているような感じ。
凛は歌声だけでなく1話でクラスメイトも言っていたように耳がいいので、そこらへん敏感なのかもしれませんね。
もっともこの相性の良さは卯月も別の意味で敏感に感じ取ったようです。
未央が「良い感じだね☆」とのんきに感想を言っている横で身を縮こめて何やら不安そうな卯月。
おそらく「あの3人の方が歌がうまい…、まさかNG解散になったり…しないよね…?」
くらいの漠然とした不安しかまだないでしょう。
しかし考えてみれば346プロのアイドル事業部一斉解体からまだ日が浅く、いつ解散や解雇になるか余談を許さない状況、元から不安は蓄積していたんでしょうね。
さらに言えば卯月は「普通の女の子に戻ること」に他のアイドル以上の抵抗があるのだと思います。
養成所でずっと頑張ってきたけど、仲間はみんな辞めてしまった。
「自分は運よくプロデューサーさんに見つけてもらえたけど、もし、見つけてもらえてなかったら…」そんな不安が常に頭の中にあったとしてもおかしくありません。
まだ17歳の少女には重すぎる恐怖でしょう。
そして中盤、みくと李衣菜が楽屋でぎこちないのを眺めているメンバーの横で、卯月が莉嘉の「本当に解散するかも」という言葉に敏感に反応します。
今の卯月にとっては解散はNGワード(ニュージェネレーションワードではない)。
来週NGが解散になるのかは不明ですが、どちらにせよトラプリの結成で卯月はとても悩むことになると思います。
(NGが解散せずに凛が掛け持ちする可能性とかあるのかなぁ…?;)
それからこれは考えすぎかもしれませんが、これ以降の卯月の表情(にわかロック解散ライブ時)もなんだか固いように見えます。
そして来週20話のタイトル。
Which way should I go to get to the castle?
= お城に辿り着くために、私はどちらの道を選ぶべき?
これ、最初は凛の台詞だと思ってました。
NGとトラプリ、どちらを選んだらシンデレラになれるのか…それで凛が悩む回かと。
しかし考えてみたら明らかに卯月が苦しむ回でもあるので、この「どちらの道」というのは「アイドルを続ける」か「普通の女の子に戻るか」の2択のことでもあるんじゃないでしょうか。背景が学校の廊下なので、この線が濃厚かも。もちろん未央にも当てはまります。
ひょっとするとCBPと常務側に回るの2択にもなったりするんでしょうか。凛に限ってそんなことはないでしょうが、脅迫めいた内容ならどうなるかわかりませんし。
次回予想はこんなところですね。
以前噂されていた20話くらいに魔法が解ける、というのはもしかしてこのNG解散&トラプリ結成のことかな。確かにこのアニメにおいてNGというユニットは象徴みたいなものですし、これが解散したら魔法は解けてしまうのかもしれません。
にしてもラブライカと蘭子回はいつ…?
4. その他小ネタ
最後に今回の小ネタを少しだけまとめておきます。
・李衣菜の買ってた飲み物
このペットボトルのラベル、なんだか見覚えがあったので少し調べてみました。
ボトルの形状は最初Vittelのものかと思いましたが…
ラベルの幅と肩の曲線がちょっと違うみたいです。
それからボトルの底の形状的にはいろはすですが、いろはすのようなクビレはないのでこれも除外、とすると無難なところで
やはりこれかなと。
肩のところの曲線と角度が違いますが、ラベルの幅とキャップ色が一番近いように見えます。
肝心のラベルですが、これはダイドーのMIUがベースだと思います。
ラベルの幅は全然違いますが、カラーリングが一番近いのと頭文字のMが被っているので。(強引?)
もしくはMIUのミネラルウォーターの旧ラベルの方が近い?
ベースの飲み物的には水とスポドリどちらの可能性もありそうです。
・その他登場アイドルとか
今週も広告等で何人か映っているシーンがあったのでまとめてみます。(時系列順)
左のカラオケの看板に映ってるのはちひゃー?、場所は新宿アルタ前ですね。
(おまけ)何故か凸レーションに吸収合併されたちゃんみお
受付の女性と花束を見てる女の子、ミリマスかと思ったけど特定できず、多分モブ
可愛かったライブフラワー、でもこれ外側は実写…?
以上、19話の感想でした。
何か気付いたら追記していきます。
(後回しになってしまっている17話の感想②と18話の感想はまた後日)