デレマスが好きで仕方ない

(とりあえず)デレマスアニメの感想を書き連ねるためのブログ Twitter : gsnfizu

17話の感想① ‐4人の絆‐

17話見ました。

聖母みりあ回でしたね

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というのは半分くらい冗談で、凸レーションと美嘉姉の4人がお互いを支え合う、心温まる本当に素晴らしい回でした。

ひょっとしたら今までで一番好きな回だったかもしれません。

色々あって前回よりもかなり感傷的になっていますが、そこらへんご了承ください。

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さて今回の17話、楓さんとNG、菜々さんとアスタリスクに続き、美嘉姉と凸レーションの回でしたね。

言いたいことがたくさんあるので、今回は小節にわけて書いてみます。

 

 

1. 17話で描かれていたことの概観

美城常務の改革の煽りを受けて方針転換を迫られる美嘉姉。

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舞踏会を成功させるため、武内Pが準備してくれた番組を精一杯頑張ろうと決意するも思うようにいかない莉嘉、みりあ、きらりの3人。

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「アイドルという職業と一人の個性を持つ自分という存在の両立」について悩むみんなが、とても印象的でしたね。ある意味で、少女から大人への転換点の一つとしても描かれていたような気がします。

 

例えば美嘉姉、

ギャルから大人の女性への方針転換について、「自分らしさにこだわること」と「部署への弊害や解雇される可能性」の間で悩んでいたと思います。

美嘉姉ならばカリスマを発揮して突っぱねてくれそうですが、アバンの中で「後輩である奈緒と加蓮のCDデビュー延期」の意味を知ることでそうもいかなくなります。

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「自分が下手なことをしたら、デビューできない子だって出てくるかもしれない」

 

間接的に人質を取られたようなものでしょう、不安な表情や佳村はるかさんの演技からもそれがリアルに表現されていました。

何度も自問自答していたように、

「しょうが…ないじゃん、アイドルは遊びじゃないんだから、わがままなんて、言ってらんない…」

今まで自分を表現できる最高の舞台だったアイドル、けれどここにきて職業であるアイドルに気付いて、自己表現と社会人としての立場(自分だけの問題ではないということ)のどちらが優先されるべきかが分からなくなり始めます。どちらも両立できていればそれが理想的ですが、「いざ両立できない状況になったとき、自分はどちらを優先するか?」という難問を突き付けられたわけです。

尤も、ここにくるまでに数多くの修羅場を乗り越えてきたであろう美嘉姉、17話中では「ギャルとしての自分が本当は一番大事」という思いが一貫していたのは、城ヶ崎美嘉としての芯の強さが現れていて良かったと思います。

 

一方で、妹である莉嘉も姉に負けず劣らず強い芯を持った女の子です。

ですがまだ12歳、アイドルにもなったばかりで、社会の中での生き方を理解するには、まだ多くの経験や長い時間が必要です。

みりあちゃんも11歳、しかも最近お姉さんになったばかりで、親の愛情について疑問を抱き始める複雑な時期です。(兄弟・姉妹あるある)

それから17話の中ではあまりスポットが当たっていなかったように見えますが、きらりもとても悩んでいたと思います。身長が高くても17歳の女の子、ユニットの中でのお姉さんとしての自分や、新番組(それもとても重要な)の司会役という重役としてのプレッシャー、誰かを励ますことの難しさを今までの様々な経験から知っているからこそ、思うようにできないジレンマ。

 

そんな悩みを抱えた4人と仲間である少女達が、17話の中で一つの答えを見つけだす。

背景、声優さんの演技、BGM、一つ一つの演出、特にセリフ、言葉の選び方が本当に丁寧で、観終わったあとに自分個人の問題についても色々と考えさせられました。

 

 

2. お姉ちゃんという立場、わがままを言えないアイドルという職業

今回特にすごいと思ったことの一つが、配役と悩みの内容のバランスのうまさです。

悩みの内容は大きくわけると「姉の立場」と「アイドルの立場」だったことになりますが、これをメインキャラ4人に対して少し具体的に書いてみます。

 

美嘉:莉嘉の姉(彼女の理想像)として示すべき模範、先輩・カリスマアイドルとしての責任

莉嘉:アイドルとしてプロジェクトの先陣をきる責任

みりあ:初めてお姉ちゃんになることへの戸惑い

きらり:ユニット内でお姉さん的な存在である自分、大事なテレビ番組で司会を務めるプレッシャー

 

莉嘉の場合は姉の立場、みりあの場合はアイドルの立場については悩みの演出が薄かったように思えるので今回は割愛しましたが、おおまかにはこんな感じだったと思います。

17歳(年上組)の2人の姉とアイドルとしての2重の悩み

11歳と12歳(年下組)の2人で合わせて、それぞれ姉とアイドルとしての悩み

キャラクターとしての相互関係を生かすだけでなく、年齢に合わせて悩みの量が異なるようにうまく演出が決められているように思いました。まさに適材適所。

(もちろん全員が平等に悩んでいて、そこに真剣さの差や差別はなかったと思います。あくまでも表現のリアルさとして年齢と悩みの量が比例していたように見えるという話)

 

このようなバランスの良い設定だけでもすごいのですが、悩みが解決されていく過程も本当に素晴らしかったと思います!

というのは、4人とも絶妙にお互いの悩みを共有し、お互いに相手の悩みへのヒントとなって最終的に全員がこれを解決するからです。

 

解決までのお互いの影響についてまとめてみます。

 

美嘉→莉嘉:アイドルとしてわがままばかり言っていられないことを教える

莉嘉→美嘉:自分なりのやり方で、自分もアイドルも両立することを教える

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美嘉→みりあ:自分も姉として苦労したと共感し、不安を和らげる

みりあ→美嘉:立場上誰にも相談できない美嘉の気持ちを知り、「いいんだよ」と励ます

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きらり(+杏)→莉嘉:不安げな莉嘉を見て、仲間として、姉的な立場として、励まし会を開き、自分なりのやり方で、というヒントを教える

莉嘉→きらり:司会としての不安やぎこちない励まし方への答えとして自分なりのやり方を示してくれた莉嘉を見て、自分が力になれたことを実感する

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矢印でお互いの影響を書くと

みりあ←→美嘉←→莉嘉←→きらり

まるで絆を示すように1本に繋がりましたね。

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(実際にはみりあ←→きらり、莉嘉←→みりあも番組を通じてお互いに励まされているささやかな演出がありましたね、ただ美嘉←→きらりは今回は具体的には描かれていないように思いました)

 

今までの話でも描かれていましたが、こういったアイドル同士の仲の良さ、絆の強さが感じられるストーリー構成は本当に良く練られていると思いました。

励まし方がぎこちないきらりが杏の助けもあって莉嘉を励ますことができた部分で、改めてあんきらの絆の強さを感じられたのも良かったですね。

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それから、結果的に年下組が先に自分なりのやり方に気付いて、それが年上組の励みになったという部分では、歳の差関係なくお互いに高め合える関係ということが示されていたように思います。

 

 

 

さて、他にもたくさん17話について書きたいことがあるのですが、2節だけでもずいぶん長くなってしまったので、ここで一旦区切って記事を分割します

 

次の記事では

・美城常務はなぜ急な改革案を推し進めるのか

・随所に光る演出の細かさ

・その他小ネタについて思うこと

あたりを書こうと思います。

 

16話の感想と考察メモ

16話見ました

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ウサミン最高でした(歓喜)

 

前回の武内P反撃の引きからどうなるかと思った1週間、シンデレラの舞踏会(仮)は美城常務には完全に暖簾に腕押し(下手したら墓穴掘ることになりそうだけど)でした

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なんだこの綺麗なババア(怒)

しかしそこはすでにしっかり絆が生まれている武内PとCPメンバー、一緒に舞踏会を成功させようと奮起、お前本当に6話で逃げ出したちゃんみおか……?、ていうか

美城常務とCPの完璧なまでの暖簾の押し合いが見事

常務がもくろむプロジェクト失敗まで続くんでしょうけど、どこかで「それはないだろ…」ってなる発言が飛び出そうで少し不安

もうちょっと殴り合いとかしてもいいんじゃないかな(期待)

 

そんでもってやっぱりウサミンも天使だった、卯月といいきらりといいデレマスどんだけ天使いるんだよ、天界かよ!俺も連れてってくれよ!

アニメ2話でウサミン登場したときは「再現度すごいけどこれで出番終わりなんじゃ…」と予想通りの不安に駆られたけどそこはさすがデレマススタッフ

(人気投票上位の人気アイドルだし当然といえば当然か、前回楓さん回だったし)

声優という部分は特にピックアップされなかったけど普通にアイドルとして成功してる菜々さんを見れて本当に嬉しい(*´ω`*)

SSとかそっち界隈では菜々さんは不憫可愛い風潮で、

・結局アイドルとして成功せず田舎に帰る

・アイドルとして成功しないけどPと結ばれて主婦になる

・アイドルとして大成功

の大体3択で色々不憫

だからやっぱり

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こうやって公式の映像としてアイドルしてる菜々さんが本当に可愛くてイキイキしてて…やっぱり菜々さん大好きだなって再認識した

(ひょっとしたら菜々さんが宣伝してたゲームに菜々さん自身が声優として出演してたんじゃないかという可能性、配信まだですか?)

 

そしてそんな(大)先輩アイドルを見て目標だと言い切るみくにゃん

なるほどそうきたか

菜々さんが誰と絡むかが気になってたけど、どうやら16話のテーマの一つは[個性]らしく、みくにゃんまさに適役!

正直菜々さんクラスに個性だらけな(今回ギャラが発生しなかった)十時んとかゆっことかいるからそっちとの絡みも相当見たいけど今回はみくにゃん

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と思ったらさっそくアイドル生命存続の危機、番組降板

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やっぱり菜々さんは不憫可愛い(歓喜)

自室の布団の上で足ばたばたしてるシーンもかなり可愛かったけど

(菜々さんクラスになると布団の守備力も高くなるらしい)

 

菜々さんにみくが憧れて、その憧れの菜々さんが個性を失いそうになったとき、みくにゃんがそれを助ける展開

正直ちょっとテンポ早い感じがしなくもなかった、なんなら1期のどこかで「菜々ちゃんが目標」みたいなシーンがあれば良かった気もするんだけど、アイドルに詳しいちゃんみおが知らなかったから仕方ないのかな…

でもちゃんと1話内で綺麗にまとまってたのはさすがデレマス

みくにゃんの「ミミミンミミミンウーサミン」を繰り返すところは正直うるっときたし、心の中では「頑張れ!」ってエール送り続けてた。キーガークルイソウ♪

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なんだみくにゃんも天使か(11話ぶり3回目)

 

そしてエピローグがかなりストーリー上重要っぽいシーン

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常務から「好きにしろ」と言われている武内Pのシンデレラの舞踏会プロジェクト(以下CBP)、これが追いやられたアイドル達の避難所(と同時に反撃の拠点)になるとは…

このままの流れで行くと

 

一部の追いやられたアイドルが自分の個性をそのままに活動を続けられるCBPに加入

常務のプロジェクトと同じく少しずつ成果を出す

しかし途中でアイドルが増えすぎて武内Pだけでは回らなくなる

武内P過労で倒れる

(∵アイマスアニメPは一度入院する法則+15話の疲れたPの描写から)

常務「ほら見ろ」(ゲス顔)

CPメンバー他、CBPに加入したアイドル達も解雇通知?

 

という展開が見える。

なんかキービジュアルの後ろの時計が1話放映ごとに進んでいて、どうやら19話あたりで魔法が解けるという噂をまことしやかに聞くので、時期的にもかぶりそうなこれが濃厚なんじゃなかろうか…

 

でもそこは期待をいい意味で裏切ってくるデレマススタッフ、武内Pが14人に分裂するくらいのことはやってくれそう…

それは冗談だとしても、普通に考えると途中でアイドルが増えすぎてる、ということに気付いて何かしら対策はとるだろうし、完璧なサポートに定評のあるちひろさんがついてるし、やち天

 

もう15話の時点で釘づけだったのに17話以降もさらに見逃せない展開が待ってそう!

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Where does this road lead to? = 「この道の先には何があるんだろう」

「この次の話では何があるんでしょう?」今からまた金曜日が楽しみ(*´ω`*) 

 

 

(ここから考察)

前記事みたいに相変わらずデレマスアニメを童話的に見ようとしているわけですが、今回も色々と気付いたのでひとまずメモ的にまとめてみます

 

最初に今回16話の狙いについて、

前回15話が物語の世界に入れた彼女達が目指すべきものを探す最初のステップとして「“アイドル”とは何か」を理解する回だったと書きました。

今回16話では「個性」がピックアップされてました、では童話的に見てこの「個性」とはなんでしょう?

シンデレラのストーリーで言えば、美城常務(継母)がアイドル達(シンデレラ)の「個性」を奪おうとするわけです、継母がシンデレラから奪うものといえば…“自由”と“舞踏会に必要なドレス”ではないでしょうか。

正直ドレスについては始めから持ってないはずなので奪うという言い方はズレてる気がしますが、舞踏会に行くのを妨げるという意味で言えば当てはまりそうです。

 

家の掃除を言い渡され、ドレスもなく、舞踏会に行くことができないシンデレラ

 

この後シンデレラはどうやってお城に行くのでしょうか?

原作では魔法使いが現れて、ドレスの他色々アイテムを用意してくれたおかげでお城に行けましたね。

では個性とはドレス?魔法使い?

 

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個性=ドレス、多分これが正解ですね

 

ドレスのないシンデレラは、自ら個性というドレスを身にまとって舞踏会へ行く準備を進めるわけです。綺麗なドレスがあれば王子様に振り向いてもらえる可能性も高くなるわけですしね。

しかしここでちょっとした違和感、アイドル達は最初から個性を持って346プロにやってきます。NGのように後から自分達の個性に気付き、それを追求していこうと気づくメンバーもいますが、みくにゃんや蘭子のように強い個性を始めから持っていたメンバーもいると思うのです。

こう考えてみると「始めから持っていた個性が美城常務により奪われる」という、上で書いた表現がしっくりきそうですが、あえて別の意味を加えてみるのも面白そうです。

 

それは「シンデレラが持っていたような強い心」です。

確かにシンデレラは魔法使いの力を借りて舞踏会に行きますが、それはきっとシンデレラの「強い心」が呼び寄せた奇跡ではないかと個人的には思います。

シンデレラは両親を亡くして継母の家にやってきて、そこで召使同然の扱いを受けながらも強く生きています。そして舞踏会の日も家事をこなしながら「私も舞踏会に行きたい」という強い思いを抱きます。だからこそ魔法使いに力を貸してもらえると知ったときも「継母さんたちにばれたりしたら…」という不安を押し切って舞踏会に行ってみるわけですね。

つまり、魔法使いの魔法はあくまできっかけであって、舞踏会に行くという選択はシンデレラ自身の強い意志によるものであるということです。

こう考えると16話で描かれていたのは、シンデレラという物語の登場人物を目指す彼女達にとっての第2のステップ、「シンデレラという人物の強い心」を理解することだったのではないかと思うのです。

 

今回の“アイドル”兼プレゼンテーターは菜々さん。

常務から個性を捨てろと命令されたとき、菜々さんとみく、番組を下されそうになったアイドル達は、一度これに負けそうになります。

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しかし武内Pと李衣菜達からの頼もしい信頼を得られたみくにゃんは、勇気を振り絞って菜々さんをそこから救い出します。

みくにゃんの「個性」を確かなものにしてくれた菜々さん、その「個性」のピンチをみくにゃんが救い返す。

 

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「みくは自分を曲げないよ」

 

15話の楓さんがNG達に“アイドル”というものを教えてくれたのに対し、16話では菜々さんとみく達が一緒になって「強い心」を学んでいるという構図の違いは、菜々さんがトップアイドルではないという現状を反映しているからでしょうね。菜々さんは先輩ですが、まだみく達と同じくシンデレラを目指し始めた一人の少女なのです。

16話のタイトル

The light shines in my heart.

もこの内容とマッチしているような気がしてきます。

(そういえば16話の冒頭、菜々さんが最初に登場するシーンの直前に楓さんの広告が映ってから場面が変わりましたね。

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これは楓さんから菜々さんにバトンタッチ、という演出なんでしょうね。)

 

さて、こうして考えてみると、“アイドル”を目指して確実に成長を続ける彼女たちの成果が見えてきます。1話1話困難を乗り越え、着実に成長していく彼女達の姿が本当に丁寧に描かれていると思います。

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しかし今回の最後に、CBPに追いやられたアイドル達が加入するという新しい流れが見えてきました。これはどう解釈すればいいでしょうか?

いくつか考えてみましたが、今の段階ではかなり曖昧な考察になりそうなので、ひとまず17話を待つことにします。

 

この他にもNO MAKEを聞いて色々思うところがありましたが、16話の考察はひとまずこれで終わりにします。

 

 

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闇に飲まれよ!

 

デレマスアニメの童話的解釈-15話までの情報をもとに-

タイトルの通りです。
できれば読む前に「記事を読むにあたって」もご一読いただければ幸いです。


さて、アイドルマスターシンデレラガールズのアニメ2期がいよいよ始まり、楽しみだった毎週金曜日、12時の魔法の時間が帰ってきましたね。

今日は15話が放送されたわけですが、それがあまりに感動的だったことに加え、一気に情報が増えたおかげで個人的な解釈がだいぶ形になったので、まとめてみました。

15話までの情報をもとに、あくまで原作童話「シンデレラ」の物語をベースにして作品を見ていきます。

構成は以下の通りです。

 

【I】1期で残された疑問
【II】1期で描かれていたもの
【III】2期で描かれるストーリー
【IV】“アイドル”とは何か?
【V】美城常務のやり方-彼女は本当に悪者か?-
【VI】これから始まるシンデレラストーリー

 

楓さんマジ女神回…と思いきや、これが全体の中でもかなり重要な回の可能性が?

(※めちゃくちゃ長文なので、お時間があるときに読んでください。) 

 

 


【I】1期で残された疑問
順番に考察していくために、最初に1期の中でどう解釈していいのか不明・曖昧だったものを上げてみます。

 

・『何故12時から魔法にかかるのか?』
デレマス1期を細かく見てみると、随所に時計の描写が出てきます。
そしてライブシーンの冒頭や346プロ内のオブジェを見ると、
「時計の針が12時になった瞬間から魔法にかかる」
という演出になっているように思えます。
しかしよく考えてみると、原作のシンデレラでは12時は「魔法が解ける時間」のはずです、何故逆に?

 

・『(主人公となる)シンデレラは誰?』
普通に考えればCPメンバーが主人公なので、14人がシンデレラでしょう。
そうなると他のアイドルは?すでにアイドルデビューしている美嘉姉や楓さんはどういうポジション?アイドルなのにシンデレラではないの?
もちろん両方主人公と考えてもいいと思うのですが、すでに人気がある先輩アイドルは単なる「先輩シンデレラ」でいいのだろうか。

 

・『描かれているのは物語シンデレラのどのシーンなのか?』
シンデレラという物語の流れを復習してみましょう。

 

シンデレラ(という名前の少女)は継母とその連れ子の姉たちにいじめられて過ごしていた

ある日お城で舞踏会が開かれることになり、継母と姉たちはドレスを着て舞踏会に行く

ドレスがなく家で留守番をしていたシンデレラ、そこに魔法使いが現れる

魔法でドレスや馬車を用意してもらい舞踏会に向かうが、12時で解けてしまうと言われる

舞踏会で王子に見初められたシンデレラ、しかし12時になり解ける魔法、逃げるシンデレラ

ガラスの靴を落としてしまうが、それを手掛かりに王子はシンデレラを探す

国中を周って唯一ガラスの靴が合うシンデレラを見つけ出し、王子と結ばれる

 

このお話の中のどの部分までが1期に該当するのでしょうか?
あくまでモチーフなので厳密に対応しているとは思いませんが、考えてみるのは面白そうです。

 

1期はNGの3人が武内Pにスカウトされ、さらに他のCPメンバーも加わって346プロというお城にやってくるところから始まります 。

そしてアイドルとして続々とCDデビュー、様々なトラブルを乗り越え、アイドルとして成長していく彼女達。
13話では全員でアイドルフェスに参加し、最高のライブで一旦幕を閉じます。

 

普通に考えるとここまでが

 

魔法の力を借りた少女たちが、

武内Pという馬車に乗ってお城に行き、
煌びやかな舞踏会で踊る、

 

というシーンだと思います。

 

しかしそうすると、少女たちはいつ灰をかぶったり、いじめられていたりしたのでしょうか?
デビュー前の状態は日の目を見なかっただけであって、登場人物としてはむしろ「町の人たち」くらいのポジションな気がします。

少なくともいじめられてはいませんでしたよね。

 

 

【II】1期で描かれていたもの
結論から言うと、1期で描かれていたのは「シンデレラという物語の世界に入る前の少女たちのお話」だったと思います。
つまり1期までがプロローグ、序章。
わざわざブログを立ち上げて記事を書いておいてなんですが、2期がある時点で「そんなの分かってる」という人がほとんどだと思います。
ですがこれを15話までの描写を踏まえて、改めて確認してみましょう。

 

原作のシンデレラでは、

 

いつものように「埃まみれの屋根裏」で暮らし、
「いじめられていたシンデレラ」が
魔法使いの魔法の力を借りて「その夜」開かれた舞踏会に参加し、
ガラスの靴を履いていたことでハッピーエンドを迎える

 

というお話でした。

 

ここから1期の謎の一つ『何故12時から魔法にかかるのか?』という疑問について考えてみます。
シンデレラのお話は舞踏会が開かれるとある1日の出来事を描いたもの、つまり1期の12時を指す演出は、魔法がかかるのではなく「これからシンデレラというお話の世界が始まります」という合図
今まで現実の世界で普通に暮らしていた少女たちが、シンデレラというおとぎ話の世界に足を踏み入れる。
そのタイミングは、舞踏会の開始からでも、魔法使いとの出会いからでもなく、物語の冒頭(一日の始まり)、灰かぶりから始まるはずです。

 

そのために少女たちは様々な準備をするわけです。
それは武内P(物語の世界への案内人)との出会いや、物語の世界に入るための「資格の取得(アイドルデビュー)」などです。

物語の世界に入るための準備と過程、そしてこれから始まる本当のシンデレラストーリーのオープニング、それが1期までのお話

 

この仮説をもとに13話を思い出してみます。
ライブ終了後、武内Pの「今日はどうでしたか?」という問いに、しぶりんは背伸びをして「楽しかった…と思う」というシーン
このとき背伸びをしたしぶりんは裸足でした。

つまり、最初はガラスの靴を履いていない現実世界の普通の少女たちが、無事資格を手に入れ、いよいよ物語の世界に足を踏み入れるという演出ではないでしょうか、
「現実」から「物語の世界」へ背伸びをして―

 

また、『(主人公となる)シンデレラは誰?』について。
美嘉姉や楓さんたち、先輩アイドルたちは、「一足先に物語の世界に足を踏み入れた少女」だったわけです。

なのでちょっと乱暴ですが、結局物語を始めた順番が違うだけで、アイドル達はみんなシンデレラ(を目指している)と言ってよさそうです。

 

 

【III】2期で描かれるストーリー
ここまでくれば想像できそうですね。
つまり2期は

「ついにシンデレラというお話の世界に足を踏み入れた少女たち、
灰をかぶり、継母や姉たちからいじめられながらも、
魔法使いと出会い、魔法の力を借りて、
ガラスの靴を履いて舞踏会(輝くステージ)へと至る」

という、文字通りシンデレラストーリーのいよいよ本編を描こうとしているのだと思います。

 

これを裏付けるのが14話、15話の演出。
物語の世界に入った少女たちの前に現れた継母や姉達(≒美城常務とか)、
解体という(かなり重い)いじめを受け、埃まみれ(=灰かぶり)の地下室へ追いやられます。
そして15話の最後で武内Pが提出した代案のタイトルは「シンデレラの舞踏会(仮)」
つまり次のお話は…シンデレラの舞踏会にいきたいという気持ちを知る回、からの留守番?

まるで原作のシンデレラをなぞるように話が展開していくのが面白いですね。

 

【IV】“アイドル”とは何か?
さて、これから怒涛の展開を迎えるシンデレラストーリーですが、まだ解決しなければならない点があります。
ずばり、「“アイドル”とは何か?」です。
ここでは普通の意味でのアイドルではなく「CPのみんなが目指しているアイドル」=“アイドル”です。

 

というのも、シンデレラというお話の中では「舞踏会に行くだけならシンデレラである必要はない」のです。
シンデレラの継母や姉たち、なんなら町の貴族たちも舞踏会に行っていますよね?
つまり彼女たちは、物語の世界に入ることはできたけど、シンデレラという登場人物になるためには「それを理解しなければならない」のです。
すなわち「“アイドル”とはどういう存在なのか」を考える必要があります。

 

そのヒント(ひょっとしたら答え)をくれたのが、今回の15話で出てきた女神、高垣楓という“アイドル”です。

346プロの中でもトップクラスの実力を持つ高垣楓
デレマスアニメ15話までで、恐らく最も「本物のシンデレラ」に近い存在でしょう。

 

ところがこの楓さん、15話でピンチを迎えます。

美城常務から「あなたをメインにした特番を組む、今入っている小さなライブの仕事は別の子にやらせればいいでしょう?」と持ちかけられます。

これをシンデレラの物語的に解釈すると、

継母?から「ドレスを用意したから、皆より一足先に一緒に舞踏会に行こう」というお誘いを受けているわけです。

つまり

「シンデレラではなく、こちら(継母or姉たちor町の貴族)側に来い」という罠です。
実際15話の中で、美城常務は楓さんに「君はもう灰かぶりではなく、お姫様なんだ」と言っています。シンデレラとは言っていません。
(なんなら灰かぶり=シンデレラなので、明確にシンデレラ降板を持ちかけられています。)

 

もしも楓さんがこの命令を受けていたらどうなっていたでしょう?
デビュー当時のファンの人たちをないがしろにし、数字だけを気にするような心の寂しいアイドルになっていたのでは…(あくまで可能性)
つまり舞踏会には行けるし、そこで華やかに踊れるけど、王子様に見初められることは絶対に無い存在になってしまったかもしれないのです。

ですがそこは我らが女神の楓さん、「あなたとは目指すところ(シンデレラorそれ以外)が違う」と美城常務を一蹴します。


さあ、そんな楓さんが、“アイドル”とは何か?をまだ知らないNGの前に現れます。
これも15話に描写があります。

団扇が少ないのでは?と抗議するファン、それに「お・か・し」の神対応をした楓さんを見たNGは
「“なんか”すごいですね」
と言っています、つまり“アイドル”とは何かがまだよくわかっていないんですね。

しかもその直後に、黒いカーテンに映った自分たちの影を見てから、やっぱり手伝いたいと言いだす描写があります。

ここからNGが楓さんという“アイドル”に自分たちも近づきたいと考えていることが伺えます。

“アイドル”が何なのか、漠然と、曖昧な認識のまま目指して試行錯誤していたNG。
そんな彼女達の前にそのお手本(道しるべ)が現れたわけです。

 

未央「ファンの人たちと一緒に…」
卯月「笑顔で…」
凛「自分達のやり方で…」
そう言いながら星のように煌く瞳で楓さんを見るNG。

 

楓「今の自分を支えてくれている、あのときの笑顔。
それを忘れずに進んでいきたい、一緒に輝いていきたいの」

ここの「一緒に輝いていきたいの」はファンの人たちだけではなく、CPや他のアイドルのみんなも含むのだと、個人的には思います。

 

そして楓さんのステージを見て何かに気付く、何かを理解するNG、
そして今まで曖昧だった“アイドル”という存在が、ついに明確な一つの目標になる。

 

15話の役割をまとめます。

今回の15話は、少女たちの灰かぶりストーリーの始まりを告げているだけでなく、シンデレラに最も近い“アイドル”である楓さんの姿を完璧に伝えるための回であり、また彼女たちがそんな「本物のシンデレラ」になることを予感させる、とても重要な回だったのだと思います。

 

 

【V】美城常務のやり方-彼女は本当に悪者か?-

最後にもう一つ。

ここまでの仮説でいくと継母役だったり、楓さんをシンデレラの座から引きずり下ろそうとしたり色々最低な美城常務。

 

しかしちょっと待ってほしい。

 

ここまで素晴らしい作品であるデレマス、それを作るスタッフの皆さんが、
「誰か一人のヘイトを用意して他を持ち上げる」ようなことはしないに違いない!
……というわけで多少強引ですが美城常務がただの悪役ではない可能性を模索してみます。

 

美城常務の方針である「突然の全プロジェクト解体」という方法、これは美城常務なりの考えあってのことでしょう。
トップとして利益を上げる、改善策を考える・実行するのは当然なので、少なくともプロジェクトの再編成はしなければならな
いとすると…

 

例えば、「CPのみを解体」や「長期的にor順番に解体」だったらどうでしょう?

 

前者だと利益を上げるために新人から切り捨てていくという悪い印象しかありません。

「CP以外のどこかのプロジェクトだけ解体」だと、すでにデビューしてCPより利益をあげているプロジェクトから切るのはなんだか不自然です。


一方後者にも嫌なところがあります。
順番に解体の場合、最初から順番を提示されていればまだましですが、それが成果次第とかだったら一気に泥沼です。
次第に解体が迫る恐怖、成果次第なら弱者を蹴落とす汚い人間の心が出てきそうで、すごく嫌ですね。

 

そう考えると「突然の全プロジェクト解体」というのは、新人もベテランも関係なく、泥沼にもなりにくい平等な方法ではないでしょうか?

ちゃんと再編成するわけですし、解雇も明言していませんし。

 

さて、それを踏まえてみると、美城常務って実は「魔法使い」なのでは?

 

そもそも「魔法をかける」とは何のことでしょう?

ただ煌びやかなドレスを与え、カボチャの馬車を用意し、ガラスの靴を履かせるだけでは、シンデレラは舞踏会には行けても、王子様に見初められる保障はありません。

灰かぶりやいじめなどの「辛い境遇の中でも曲げなかった強い心」があったからこそ、そこにはハッピーエンドが待っていたのではないでしょうか?

これまでのCPのままでも彼女達は幸せになれたかもしれない、けれどそこには平凡なハッピーエンドしか待っていなかったのでは?


「灰かぶりやいじめ」=逆境(解体、世間の厳しさ、自惚れなど)を跳ね除けてこそ、最後のハッピーエンドがより輝く。

つまり、美城常務は「彼女達がより輝くための魔法」をかけている途中なのかもしれません。(めっちゃ強引)


考えてみれば、美城常務が継母的なポジションでしかないとしたら、ちょっとおかしいですね。
だって継母たちは舞踏会に行きますが、美城常務はアイドルではないので舞踏会には行かないはずですよね?

この解釈ならば「美城常務はただの悪役ではない」と言っていいのではないでしょうか?

 

 

【VI】これから始まるシンデレラストーリー
いずれにせよ彼女たちは、

 

シンデレラに憧れ、

これを目指して準備し、

物語の世界に足を踏み入れ、

灰かぶりやいじめという逆境を経て、

これからゆっくりと「舞踏会」、ひいてはハッピーエンドへと至る階段を昇る


そんなシンデレラストーリーの途中なのではないでしょうか。

 

その先に待っているのは何か、

 

煌びやかな踊り、

王子様との出会い、
一度はガラスの靴を失い、

また灰かぶりに戻ってしまうかもしれない、

けれどきっと最後には、

ガラスの靴を頼りに王子様が探しにきてくれる、

そんなハッピーエンドが待っている―

 

その結末を知るためにも、これから先の16話、17話、18話…、毎週金曜日の夜、12時の魔法にかかるのを楽しみに待ち続けたいと思います。

 

 

まだ書きたいことはあるのですが、設定に関して書きたいことは書けたのでここで区切ります。

読んでいただいてありがとうございました。

 

【2015/07/25 一部記事修正】